・・続き8
グループを始めて9カ月になる。1回1回、いつもメンバー全員の思いや愛を感じる事ができて、「いいグループだった」と感じるが、中でも印象的な出来事がある。
初めてエンカウンター・グループを行った時、私自身も含めて誰もが緊張する中で、「なんでこんなことしないといけないの。俺、こんなの嫌いなんだよね」と話した1人のメンバーがいた。その時私は初めてのグループで、グループに対して批判的な発言をするメンバーに対して、「どうしよう、グループに対する悪い印象をみんなが持ってしまうかもしれない…」と内心ひやひやしながらも、「そうやって感情を伝えてくれることが大切なんです。ありがとうございます。」と伝え、グループを続けたということあった。
それから9カ月が経過し、今ではそのメンバーはグループの中でとても素晴らしいロールモデルになり、常にグループの中で他のメンバーに問いかけ、思いを伝えるようになっている。彼は劇的な出来事があって変化したわけではない。1回1回、回を重ねる中で少しずつ新しい役割に挑戦していく中で、変化していったのである。
グループを始めて数ヶ月間斜に構えて全く発言しなかった彼が、「どうやって質問したらいいかわからない」と話してくれるようになり、「援助者の役割」の説明をノートに書くようになった。それから数週間後、グループの中で初めて質問をしてくれた時、私はグループが終わって真っ先に「今日の質問よかったですよ」と伝えた。
それから、グループの中で少しずつ発言する機会が増え、ある時他のメンバーから「常にグループで積極的に発言して、回復に取り組んでいる姿勢に勇気をもらえる」とアファメーションされるようになった。そして、彼自身も積極的に他のメンバーにアファメーションをするようになった。
そして先日、初めて自分自身が話題提供者としてエンカウンター・グループに参加することとなった。その中で、彼は他の参加者からの質問に答え、自身の感情に真摯に向き合い、率直に思いを語った。
その姿を見て、私は最後に彼にアファメーションをした。
「初めてグループをした時、椅子に斜に構えて、『俺きらいなんだよね』と言っていたことを思い出して、今日の姿をみて本当に感動しました。自分自身の感情を率直に語り、向き合う姿を本当に誇りに思います」
こうやって、一人一人の心の中にサンクチュアリが築かれ、その一人一人のサンクチュアリがつながることによって、日本のどこにでもサンクチュアリが創られていくことができる。
私は強くそう確信している。
(第8回 了)
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