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今、日本各地で、治療共同体の芽が少しずつ育まれている。 約2年前、ニューヨークにある治療共同体世界連盟事務局のDAYTOPのディレクターを訪ねた際に投げかけられた言葉ある。 「どうして多くの日本人が治療共同体に感銘し、治療共同体を訪れるのに、一向に日本では始まらないのか」 私はその時はっきりと答えることができなかった。 しかし、数年を経て治療共同体モデルは少しずつ広がりを見せている。 今回、日本で始まりつつある治療共同体モデルの取り組みについて、そして日本で治療共同体を実践する上で大切なことを考えていきたい。 治療共同体の要素 現在、様々な領域で治療共同体プログラムが取り入れられている。刑務所内プログラムとして、DARC(Drug Addiction Rehabilitation Center)内のプログラムで、それぞれの施設が独自性を活かしながら治療共同体の要素が取り入れられている。 では、治療共同体の要素とは一体何だろうか。 日本に治療共同体はあるのかどうか、回復者スタッフが運営する依存症からのリハビリ施設であるDARC(Drug Addiction Rehabilitation Center:薬物依存症に対するリハビリ施設)やMAC(Mary knoll Alcohol Center:アルコール依存症に対するリハビリ施設)は治療共同体かどうか、という議論は常になされ続けている。その鍵となる治療共同体モデルの9つの要素について紹介したい。 1975年に設立された治療共同体世界連盟は治療共同体モデルとして、以下の9つの要素を挙げている。これらの要素は行動や態度の変化に共同体を用いるという社会学習理論に基づいているとしている。 ①積極的 な参加 ②メンバーシップ・フィードバック ③役割のモデリング ④個人の変化を導くための総合的な形式 ⑤共有された基準と価値 ⑥構造とシステム ⑦開かれたコミュニケーション ⑧個人間またはグループでの関係 ⑨独自の言葉の使い方 全てが治療共同体モデルにおいて必要な要素であるが、ここでは治療共同体の大きな特徴でもある、②メンバーシップ・フィードバック、③役割のモデリング、⑤共有された基準と価値、⑥構造とシステムについて説明していきたい。 (次ページへ) |
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