・・続き7
・情報を共有する
Aさんが参加者からいろいろな質問を受けているうちに、「Bさんについてのとらわれを誰か に相談する事が出来ているのか」、そして、「Bさんに対して感じた気持ちをどうしてその場で本人に伝える事が出来ないのか」という2つの課題が見えてきた場合に、
「今、このような2つの課題がみえてきました」とファシリテーターが整理し、全員でグループの中での課題を共有していることを確認する。
・情報を引き出す
同じ様にBさんに対してとらわれを持っているDさんがいる場合、
「Dさんはどう思いますか?」や「Dさんはどのように対応しましたか?」と質問をすることで、Aさんの気付きを促す経験や感情を引きだす。
・学ぶことを楽しくする
グループはいつでも深刻である必要はなく、時にはユーモアを交えて笑いや笑顔のあるグループの中で楽しく学ぶことができるように心掛ける。
・全員が仲間と感じられるように他の人を助ける
入所したばかりのメンバーや人前で話すことが苦手なメンバーなど、グループの中で発言できないでいるメンバーがいる場合に、「どう思う?」と発言を促し、全員がグループの参加者であり、仲間であると感じるようにする。
・参加していることを勇気づける
グループの最後には、アファメーションの時間をもつ。アファメーションとは、肯定的な宣言といわれるもので、誰かに対してや自分自身に対する感謝の気持ちや、認めていることなどを伝えることである。この時に、話題提供をしてくれた人や、初めて発言してくれた人、いつもと違う役割に挑戦した人に対して、参加者から感謝の気持ちやその行動を勇気づける言葉かけを行う。
・グループの中が常に動くように意識する
グループを行っていると、ある時、沈黙が訪れることがある。その時に、参加者自身が傍観者としてその沈黙を眺めるのではなく、一人一人がグループに働きかける役割を有していると認識し、積極的に発言を行うことを心掛ける。
・開かれた質問をする
グループの中で質問をする際に、安全なフィードバックをするために意識する事として「開かれた質問」をすることを共有している。相手を傷つけたり批判するような発言となってしまう原因は「あなたは○○だと思う」と相手を主語にしてしまうことが多い。そのために、まずは自分が感じた○○ということについて相手が気付きを得るような質問の形式にすることを心掛ける。そして、質問をする際には、より相手が考える事ができるように、「開かれた質問」を共有している。「開かれた質問」とは、「はい・いいえ」で答えられない質問をすることであり、「いつのことですか?」「具体的にどのような場面ですか?」「なんでそう感じたのですか?」などの方法で質問をする。
こうして、少しずつ共同体は成長し、あるメンバーは「エンカウンター・グループを始めてから、喧嘩することがなくなった。グループを使って、思いを伝えたり、話し合えるようになってから、喧嘩をする必要がなくなった」と話してくれた。
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