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第五回目のテーマは「社会的養護と当事者活動」
児童養護施設での生活体験者で、当事者活動をしている渡井さゆりさんとの対話です。
   
・・続き15
大きいパートナーの存在
箱 崎: 相談したいけどできない自分に気づいて、以前は頼めなかったことができるようになってきた感じですか?
渡 井: そうですね。やっぱりパートナーができたということが、大きいかも知れません。どんな状態であっても自分と生きようと思っている人なんだなっていうことを、ようやく感じられてきたので。入籍したり、結婚式を挙げたらそうなるっていうふうには思えないじゃないですか。私が家事をやってたりもするんですね。でも、お互い自営業みたいなものだから、彼も結構やれる時間はあるんですけど、私がやっちゃうと怠けてしまう。私も休む時がないのに「相談してくれよ」とか、「頼ってくれよ」とか言われても、空々しくて、腹が立つじゃないですか。でもそういうことを以前の私は、言わなかったんです。ぽろぽろ泣いていただけで。でも激しく喧嘩みたいな感じで話し合って、それでだんだんお互いに心地良い関係になっていって。
箱 崎: 自分のありのままの感情を言葉で表現できるようになって、お互いを理解し合うようになっていったのでしょうね。
渡 井: はい。だから今は、ストンと、お互いの一致点みたいなところで過ごせるようになっています。そういう相手とめぐり合えたことが大きかったと思います。
箱 崎: そういう実感が湧いてくると、自分は一人ではなくて、自分と一緒に生きていく人がそばにいるっていう安心感を感じるのでしょうね。
渡 井: そうですね。もうそれが当たり前にもなれているんで……。
箱 崎: すごく早いですね。結婚してまだ1年たっていないのに。
渡 井: 私、振り返ると、見極めが早いんです(笑)。つき合って1年して結婚したんですけど、つき合って1カ月以内に同棲を始めてたんです。だから、そばにいた時期が結婚前もあったけれど、その時はまだ何か実感として持ててなくて、結婚して共に生活していくうちにやっと最近、少しずつ……。
箱 崎: そういうパートナーがいて、正直な気持ちをやりとりできるようになると、他の人との関係も変わってきたということはありますか?言えなかったこと、頼めなかったことができるようになったとか。
渡 井: ああ、そうですね、きっと。

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