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第五回目のテーマは「社会的養護と当事者活動」
児童養護施設での生活体験者で、当事者活動をしている渡井さゆりさんとの対話です。
   
・・続き11
共に食事することの大切さ
箱 崎 : 一緒にご飯を食べることをとても大事にされていますね。
渡 井: ここは最初は、こんなきれいな場所じゃなかったんです。改装工事をしてもらって、キッチンつくってもらったんです。ここを改装する時に、「どうしたいですか?」と聞かれて、唯一お願いしたのが「キッチンをつくってください」ということでした。
箱 崎: キッチンにこだわったのはなぜですか?
渡 井: 私は大学4年の時に、自立援助ホームで働いていたんです。もう大学の授業もあんまりないから泊まりの勤務もあって、週の日・月曜日は泊まり勤務だったんですね。日・月しかいない私にどうして子どもたちは心を開いていろいろ話してくれるのかなって思った時に、日曜日の夜に来て、一緒にご飯つくって待ってて、子どもたちが夜帰ってきたら一緒にご飯食べて、一緒にテレビ見たり、何かおしゃべりしたりして、朝、朝ご飯つくって送り出して、夜まで待って、またご飯を一緒につくって食べて……ということを一緒にしているから、一緒に生活を分かち合っているから、受け入れてくれるんだなって思ったんです。
 たぶん、そういうことがなかったら、私はぽつんといる程度で、あんまり役に立てないと思うんです。それで生活の一部を共にするっていうのって大事だなあっていうのをぼんやり感じていて。だからといってサロンをつくる時に、すごくご飯を大事にしようみたいな狙いがあったわけじゃないんですけど、結果として、そう思っていただいているような感じになっている。
 みんなでご飯をつくって食べるって、当たり前のようで、あんまり普段なかなかみなさんできていないから、結構感激してくれます。よく見える方はスタッフと一緒につくってくれたり、初めて来た方が手伝ってくださったり、自然にそのような感じになっていますね。
箱 崎: 一緒にご飯食べて、今日一日のたわいのない話をして。
渡 井: そうですね、たわいのない話の時もあれば、人によっては課題があったりする方もいるので、みんなで何気なく、それについて話す時もあります。イベントでは、音楽やお笑いのライブをしたり。
こだわりのキッチン スタッフと利用者が一緒に料理作り!

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