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・・続き9
里親との絆を求める生後3ヶ月の命
6月16日
私はブラッドリーを訪問しに里親のマーサの家に向かった。マーサが広い居間のベージュ色のカーペットの上に赤ちゃんのブラッドリーを置いて、話しかけている。私はブラッドリーが笑ったのを初めて見た。今まで一度も笑ったことのない生後3ヶ月のブラッドリーは、床に仰向きに寝た状態でマーサの顔をしっかり見て大きな微笑をみせた。マーサの声を体ごと受け止めるように両手両足をばたばたと空に浮かせて、その“気持ちのよさ”や“うれしさ”を表現しているのだった。
「ブラッドリーが我が家に来てから、今日が6日目。最初の2日間は大変だったの。ただただ金切り声で泣いて、きつく私の体に押し付けるようにして抱いていないと泣き止まなかった。」マーサはそう言った。
精神障害に苦しむ母親との生活では得られなかった、他の人間とのボンディング(きづな)を、この小さな生後3ヶ月の命は懸命に求めていた。
次回は、ワシントン州の児童福祉改革の5つのアプローチについての報告です。州知事命令よるチャイルド・ウェルフェアの改善策から、ソーシャルワーカーが自らの手でケースワークや政策を変えていく努力までの事例を織り交ぜて紹介します。
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