現在、アメリカ、ワシントン州で児童福祉のソーシャルワーカーとして活躍している、粟津美穂さんの連載がはじまることを、とてもうれしく思います。偶然にも、美術館の学芸員をしている私の友人が、粟津さんのお父様で日本のグラフィックデザイナーの草分け、粟津潔さんの個展を担当したご縁で、幸運にも日本に一時帰国されていた粟津さんにお会いすることができました。

 アメリカに戻る前日、新宿の喫茶店で聴かせていただいた、粟津さんのソーシャルワーカーとしての仕事の内容は大変リアルでした。支援をしても絶望的な子どもの置かれている状況に、夜の海を漂っているような気持ちになったり、新たな取り組みを知って、陸が見えてくるような希望を感じたり・・・とても刺激的でした。

 私だけではなく、粟津さんの日々の仕事を多くの方に知ってほしいと思い、お願いしたところ、大変お忙しい状況にもかかわらず、快く引き受けて下さり、「アメリカ・児童保護ソーシャルワークの365日」の連載記事を執筆していただくことになりました。

 日本の児童福祉は、アメリカの児童福祉の先駆的な取り組みを、追随する傾向がありますが、参考できること、できないことの両面を見定める目を持って、日本で何をするかを探っていくことが必要です。粟津さんは、記者を経て、ソーシャルワーカーになったこともあり、大変鋭い視点をお持ちです。アメリカの児童福祉の光と影をとらえて、進むべき道を提案できる稀有な方です。

 粟津さんの著書「『ディープブルー 虐待を受けた子どもたちの成長と困難の記録』に、一人ひとりの子どもと家族に対するソーシャルワークがじっくりと丁寧に書かれているので、是非一読していただきたいです。
アメリカの児童福祉の現場がどのような状況か、子どもに求められていることは何か、粟津さんが熱く鋭く伝える臨場感あふれるレポートにご期待ください。

オレンジリボンネット管理人 箱崎幸恵 
   
   
 
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