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〈 注釈 〉
(1) フォスターケア
児童保護裁判所の法廷命令によって、親以外の人間と住んでいる未成年者にかかわるシステムの総称。フォスターペアレント=里親。フォスターチャイルド=里子。フォスターユース=10代の里子。
 
(2) 10代の里子たちの現状調査
アメリカ北西部のかつて里子だった若者たち、500人近くのインタビューを元にまとめられた研究『ノースウェスト・フォスターケア・アルミナイ・スタディー』(2005)によると、フォスターユースの54パーセントが過去1年間に精神科の病名診断を受けていたことがわかった。彼らのPTSDの割合にいたっては服役軍人の2倍に当たる25パーセントという結果が出ている。そのほかにも、うつ病、社会不安障害(SAD)などの病状が目立った。
シカゴ大学の行った長期調査(2004)によると、フォスターユースの3人に1人が高校を卒業していないことがわかった。定職があるのはわずか、10人の内4人。また女の子の2人に1人。男の子の4人に1人が過去1回以上、政府からの福祉金をうけていた。

(3) 「ディープ・ブルー=虐待を受けた子どもたちの成長と困難の記録」
アメリカの10代の里子たち、そして児童保護ソーシャルワークの現状については著者のカリフォルニアでの4年間のフォスターユースたちとの体験のルポルタージュを参照されたい。
(太郎次郎社・2006年12月刊) 

(4) 児童保護局
一般にDCFS(デパートメント・オブ・チルドレンス・サーヴィシズ)とよばれる、米国の各州または郡の下におかれている児童保護および里子管理に関するいっさいの業務を行う機関。CPS(チャイルド・プロテクティブ・サーヴィス)ともよばれ、日本では児童相談所にあたる。

(5) リテンション・プログラム 
(正確にはフォスターケア・クリティカル・リテンション・プログラム)

年々減る傾向にある里親を支えるため、専門のセラピストが里親の家庭を訪問して、子どもの行動や感情障害と取り組む。里親の維持を目的とした、児童保護局と提携しているケア・プログラムのひとつ。里親維持の方法は地域によってもずいぶん差異があるが、大半はセラピストがまず、里親家族内におきている危機の原因は何かを的確なアセスメントから判断するところから始まる。
たとえば、アセスメントの結果、里子の早急な行動改善が必要、と決まった場合、セラピストは里親に、里子の状況に合わせたペアレンティングの仕方をひとつひとつ手ほどきする。その段取りは、里親だけでなく、子どもの通う幼稚園の先生など、子どもが日々接触する大人たちにも同じように手ほどきされることによって、その子の行動矯正に一貫性をもたせようとする。

(6) CASA(コート・アポインテッド・スペシャル・アドヴォケット)
児童保護裁判所で認定されたボランティア。里子たちのニーズに目をむけ、法廷ヒアリングに出廷して、担当する児童に関する自らの観測と意見を述べる。子どもたちの応援役であり擁護者である。現在では,5万人以上のボランティアが全米950のCASAのオフィスで子どもたちの擁護をつとめている。

*プライバシー保護のため、ここに登場するすべての個人名は仮名です。

 
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