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第五回目のテーマは「社会的養護と当事者活動」
児童養護施設での生活体験者で、当事者活動をしている渡井さゆりさんとの対話です。
   
・・続き9

職員との関係
箱 崎 : 児童養護施設に11歳から18歳までいて、その間というのは、「19歳までこれっていう大人に出会ってない」って言っていましたが、職員に相談や何か話を聞いてもらった思い出とかありますか?。
渡 井: 中2の時、万引きして警察に捕まって、まあ、身元保証人みたいな人が来るじゃないですか。その時に職員が来てすごく怒られるんだろうなと思ったら、すごく泣かれたんです。すっごく号泣していて。ああ、もうこんなに人を悲しませるようなことはしちゃいけないなっていうような感覚でした。職員の方とも、その時々でいいこともあるんですけど、嫌なこともあるんで、人との関係はそうかもしれないから、別にすべて悪かったわけではないんですけど、でも、何か理不尽なことをされたとか、守られなかったとか、そういうのがあるから・・・。
箱 崎 : 職員に何か相談したことはありましたか?。
渡 井: 私は、母の状態が少しでも良くなってほしいという気持ちを持っていて、そのことはちょっと相談はしたんですけれど、職員に「お母さんはしょうがないよ」みたいなことを言われて。私は生まれてからずっとそのしょうがなさに振り回されているので、そんなこと、しょうがなさはもともとの話なんですよね。私は、人って結局変えられないなっていうことは、ほんとに母との関わりですごく感じているんです。その人が実感を持って変わりたいと思わないと人は変わらないということは。だから、その時に職員がどんな関わりをしてくれたらよかったのかなあと思うと、一緒に考えてほしかったんです。ただ思い悩んでいる私の気持ちに一緒に寄り添って、母への思いを聞いてくれて、「心配だよね」とか言ってくれて、一緒に考えてくれて、母がちょっとよくなったら一緒に喜んでくれたり、ちょっとイヤなことを母に言われたら「それは傷つくね」とか言ってくれたり。でもそういう職員とのやりとりは全然なくて。
箱 崎: そういう渡井さんのお母さんへの気持ちに寄り沿って受けとめてほしかったのですね。
渡 井: そうですね。職員に自分から話すこともあんまりなくて。職員が聞きたいっていう姿勢で対峙してくれないと、子どもは言わないと思います。ほかの子どももいるし、そういう時間って、職員が心がけないと絶対つくれないと思うんです。
箱 崎: 渡井さんがその時にどういう思いでいたか職員は全然知らないのですね。
渡 井: 知らないと思います。だから、児童相談所の児童福祉司さんがつくっている児童票があって、それで共有されているでしょうけれど、職員は、その児童福祉司さんを悪く言う職員だったんですよ、児相がどうのこうのみたいな感じで。
箱 崎: 児童相談所と児童養護施設の関係はなかなか難しいですからね。
渡 井: そうなんです。でも子どものことを考えたら協力するべきだし、協力できない状態にあったとしても、子どもにそういうことをあんまり言うべきではないと思うんですけれど、文句を言う職員の方だったので。児童票がどこまで合っているかっていう部分もあるけれども、それも踏まえながら子どもの状態を見るというのが大事だと思うんですね。日々の何気ないやり取りから、「どれだけ自分のことをわかっているのかなあ」という気持ちでいました。だから、母のことを相談しても「しようがない」って言われたら、もうそれ以上何も言わないですよね。職員の方でそうだったから、ほかの人にはもっと話せないなあって思っていましたね。

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