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第五回目のテーマは「社会的養護と当事者活動」
児童養護施設での生活体験者で、当事者活動をしている渡井さゆりさんとの対話です。
   
・・続き11
高校時代は文化祭とアルバイト
渡 井: 高校の時は、バイトをしている以外は、すごく文化祭に力を入れていました。3年間、文化祭のことばかりやっていました。
箱 崎 : 高校はわりと楽しかったですか?
渡 井: うーん、楽しいというか、ただ楽しいとは言えない大変さがあったんです。まあ、それが今も役に立ってもいるんですけど、後夜祭のバンドは誰が出るかとか決める会議で、窓から飛び降り自殺しようとする人が出てくるくらいみんな熱くなっていたんです。運営で派閥ができて、言ってもないこと言われたりとかもあって。
箱 崎: 文化祭の委員長というのは、大変な任務ですね。
渡 井: そうなんです。ずっと1年から役員をやっていて。文化祭の役員って嫌われ役なんですよ。だから、嫌われ役を買って出たような感じで。
箱 崎: なかなかみんな手を挙げないですよね。
渡 井: でも、そんなことあんまり知らなくて面白そうだなと思ってやったんです。だから何か、勝手にそういう経験もやっていて。たぶん信じられないと思うんですけど、高校に午前1時とかまでいるんですよ。
箱 崎: そんな夜中までいていいんですか?
渡 井: 会議が終わらないんです。どの団体を出演させるさせないを大まじめに話し合っていて(笑)。今から思うと、すごくかわいらしいなと思うんですけど。
箱 崎: 女子校だったのですか?
渡 井: 共学の県立高校です。先生も職員室にいて待っていて、終わったら、「お待たせしました」って言って、解散するんです。
箱 崎: 青春ドラマみたいですね(笑)。
渡 井: そうですね。だから、帰れない子がいると、してはいけないのですが、原チャリで二人乗りして送って帰ったりとかしました。だから、楽しいっていえば楽しいけれど、きつくこともあって。
箱 崎: 施設にいながらバイトもして、文化祭の委員長もやって忙しくしていて、施設の中でひとり暮らしをしているような感じに見えますね。
渡 井: そうですね。たぶんそうかもしれないです。
箱 崎: 妹や弟たちのことは、一緒に暮らしながら気になっていましたか?
渡 井: 2人はとっても私のことを慕ってくれていて、それがすごくよかったなと思います。私が家にいる時は、2人とも私の部屋に来ていました。私は1人部屋だったので、それも環境としては、ほかの施設で暮らしていた人と比べたらいいと思います。妹と弟は、当時仲が悪かったのですが、お姉ちゃんとは話したいみたいで私の部屋で2人と交互に話をしていて可笑しかったです(笑)

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