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・・続き5

☆シリタ・ソテロ死亡事例
 4歳になったばっかりのシリタという女の子は、2005年1月22日に継母に全身を殴打されて亡くなった。シリタもラファエルと同じように、新生児のとき、麻薬検査に陽性の結果が出て、児童保護局が介入した。シリタは最初、里親に措置されたが、その後ソーシャルワーカーはシリタを母親の元にもどす努力を重ね、3年のあいだに4回、親子再統合が試みられた。だが、結果は母親による虐待とネグレクトの繰り返しだった。

 3年目、児童保護局は親権剥奪のための裁判手続きを始めた。それまでケースに関与しなかったシリタの父親は、親権剥奪の一報を受けると、子どもを自分のもとにもどしてくれるように申し出た。児童保護局は、実父の家庭調査をし、父親にペアレンティングや精神鑑定などのプログラムを与えた。父親はシリタとの面会も与えられたプログラムもすべてこなし、2003年、シリタは父親と継母とともに暮らし始めた。

 児童福祉局はそれから約1年間、家族の安全を見守るために監督をした上でケースを正式に終了した。死亡事故はそれから2ヶ月のことだった。継母から暴力を受けて死亡したシリタの頭蓋骨は陥没し、肝臓が破裂していた。

 このケースは私のスーパーヴァイザーのアレックスが数年前まだソーシャルワーカーだった時に担当したケースだった。アレックスは私たちソーシャルワーカーにこんなことを話したことがある。「僕はあのころ、50件ぐらいのケースを抱えていて、シリタの家庭はこれといって何も問題なく順調に行っていた。だから、あまりの忙しさにシリタに会いに家庭訪問に行かない月もあった。継母にはシリタの父親との間の子どももいた。
 シリタは彼女にとっては夫が以前に関係した女の子ども・・・だから彼女の想像を絶するような暴力は、今から考えれば、嫉妬が原因だったことがわかる。毎月の家庭訪問がほんとうに大切だという思いは、僕のこのシリタの死の体験からきているんだ。どうか君たちも、30日ごとの子どもとの面会をどんなことがあっても、守って欲しい。」 

 2007年の夏、州議会では『ラファエル・ゴメス法』にならんで『シリタ・ソテロ法』が可決され、子どもを親と再統合する前に、家庭内の18歳以上の住人すべての犯罪暦を調査することが取り決められた。子どものケアにあたる大人たちのアセスメントを徹底して、ペアレンティングや麻薬厚生プログラムなど適切なサービスを与えることも法の中に組み込まれた。もしもケアを与える大人がサービスを拒否したり,積極的に挑まない場合は、ソーシャルワーカーが裁判所に通告することも決められた。

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