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・・続き6
5.ソーシャルワーカーが自分たちの力で児童福祉の改善をはかるCQIという試み
ここまでの、5つの児童福祉の改革の方法は、すべてが連邦や州政府、裁判所など、上からの強制と圧力によるものだ。ソーシャルワーカーの日々の仕事は、こうして外側からの複雑なルールや、数値目標の達成要求や締め切りのプレッシャーで固められている。そしてその業務の数はブラーム和解交渉のアクション・ステップを例のひとつとってもわかるように、近年増え続けていった。
けれど、そんな頭でっかちで、命令追従いっぺんとうの改革だけが改革のすべてなのではない。子どもと家族が児童福祉の核だと考えれば、彼らのことをいちばん理解し密接に仕事をしているソーシャルワーカーなど児童保護局のスタッフがほんとうの意味での改革の鍵をにぎっているはずだ。
ワシントン州の児童保護局では最近、CQIのメソッドをとりいれて、スタッフが自らの体験と試行錯誤のなかから児童福祉の改善の道を開くようになった。CQIとはコンティニュアス・クアリティー・インプルーブメントの略。CQIのコンセプト自体はビジネスの世界で始まったそうだ。クライアントにとって一番必要なことが何かを毎日の仕事の中から判断し、地域のリソースの範囲内でソーシャルワークの実践の改善の具体的なステップを考え出してゆく。CQIには締め切りも終わりも無い。それはスタッフが“学習や体験”に基づいて続けてゆく“プロセス”だからだ。
エヴェレットの事務所でも2008年の初頭からCQIのチームをつくって、週に一回のミーティングを開いていた。私もそのチームの一員だ。
7月10日。普段の業務を返上して、CQIの終日のミーティングがスーパーヴァイザーの自宅で行われた。出席したソーシャルワーカーは全部で17人。今月中に、マネジメントにたいして、ソーシャルワーカーたちの目標と細かなステップを提出するのが目的の集まりだった。
私たちのクライアントに対する仕事向上の目標は次の5つの項目に絞られた。
1. |
ソーシャルワーカーの子どもとの30日ごとの面会を確実なものにする。。 |
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2. |
2. 里子が何度も措置されるのを防いで、措置の時間も短くする。 |
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3. |
3. きょうだい分離を防ぎ、きょうだいを同じ場所に住まわせる。 |
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4. |
4. 子どもと親の訪問の質を向上させて、家族再統合の踏み台にしてゆく。 |
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5. |
5. エヴェレットの事務所のモラルの向上を図る。 |
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