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 われわれワーカーたちの願いが、ブラーム和解交渉などのゴールとひじょうに近いものであることがわかる。ただ、目標達成のステップ自体は自分らの毎日の仕事の内容から直接に抽出されたものばかりだ。例えば「里子が何度も里親を変わるのを防ぐ」というゴールに対しては、子どものニーズをすばやく把握して、いちばん適した里親に措置することがステップとして加えられた。

 そのためには、子どもとのはじめての面会時に家族から子どもに関する知識を収集し記入する書類をつくり、共有フォルダに入れてすべてのソーシャルワーカーが読めるようにする。地域の里親ひとりひとりの特徴や訓練の情報の一覧表をつくる。2人のソーシャルワーカーがこのタスクを受け持つことになった。

 7月19日、土曜日。エヴェレットの北の湖の近くの公園で『ファミリー・フェスト』が開かれた。養子縁組する子どもを求める里親と、孤児になった里子たちがめぐり合うためのこのアダプション・パーティーに、50人以上の里親、そして、30人の里子たちが参加した。この里子たちの実親の親権はすでに剥奪されていて、彼らは自分らを受け入れてくれる”永遠の家族“を探すために、この公園に来ていた。ほとんどの子どもが小・中学生だ。

 ソーシャルワーカーが数人、ピクニック・テーブルにすわって、里親の質問に答えている。大きなサンドイッチをほおばったり、ジャングルジムによじ登ったりする子どもたちを遠巻きに眺めていた里親の何人かは、しばらくすると、子どもたちに声をかけ、芝生にすわって一緒にゲームをし始めた。 

 ファミリー・フェストの数週間後、パーティーに来ていた30人のうち、15人の子どもたちの養子縁組をする親(アダプティブ・ペアレント)がみつかったことが、職場のメールをとおして報告された。

次回は、児童福祉ソーシャルークの実践のかなめである、リスク・アセスメントの変遷、そして、ドメスティック・バイオレンスと子どもの虐待の関係を探る。新しい家族も登場する。

(1) ロスの大暴動: ロドニー・キングという黒人が軽犯罪で逮捕され、4人の警察官から棍棒などで殴打されているところを近くの市民がビデオに収める。それがテレビで公開され、この警官の暴力事件は裁判所に持ち込まれる。が、1992年4月29日、陪審は警察官全員に無罪を言いわたしたことから、ロスアンゼルスの何千人もの市民が暴動に巻き込まれる。6日続いた暴動で多くの店が盗難にあい、暴行そして放火が街全体を焼け野原のような状態にしていった。州兵たちが駆りだされて緊急事態を救おうとしたが、53人が暴動のさなかに死亡した。

(2)パーマネンシー・プランニング: 里子が施設を長年にわたって転々としないよう、一定の期間内に親と安全に暮らせるようにするための計画。同時に親元に戻れる見込みの無い里親に対して、安定した恒久的な家庭環境、たとえば養子縁組や後見人などを与えること。安住のためのプラン。 

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