青木悦さんは、教育ジャーナリストとして、執筆活動、講演活動に大変忙しくしています。ご自身が過酷な子ども時代を体験しています。その生きた体験がベースとなって、常に子ども目線で人々にとても大切なことを伝えています。青木さんは、権力的な大人目線の“しつけ”ではなく、大人は先に生きている者として、子どもに生きていくための術(すべ)を教えるという視点に立つことが必要だと言います。33年間、教育の現場で取材を積み重ね、安心できる家族とは?いじめの背景にあるものとは?と、教育の問題点について、ぶれることなく子どもの立場に立って伝え続けています。
青木さんの生き方そのものが、生きていくための術を教えてくれます。
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青 木: |
いろんな人との出会いってすごく大事よね。出会える場所があればどんどんつくらなきゃいけないし、それは自分が行くっていう意味じゃなくてね。その人たちが来やすい場所をいっぱいつくるっていうのが、もう急務だと思いますよね。 |
箱 崎 : |
そうですね。自分の家庭の中で学んでしまったことと違うことがこんなにあるんだということを知る機会がなかなかないですからね。 |
青 木: |
ないです、そういうのは。今は特にないですよね。私の子どもの頃の方が、まだ隣近所がガシャガシャ出入りしたり、おじいちゃん、おばあちゃんがいたり、それから、学校の先生もいろんな先生がいたりね。今、学校の先生は優等生ばっかりじゃないですか。 |
箱 崎 : |
優等生ばかりだとつまらないですね(笑)。 |
青 木: |
本当に。そういう意味じゃ、「言葉はグローバル」なんて言いながら、実際はすごく個人の生きる場所は狭くなっているのかなって思いますよね。 |
箱 崎 : |
そうですね。どんどん狭くなって、その中でいろんな、それこそ青木さんがずっと取材されてきた学校の中はすさんだ状況ですね。 |
青 木: |
そう、そう、そう、いじめとかね。 |
箱 崎 : |
お仕事で、教育関係のことを書かれて取材されてきて、教育がものすごく多くの問題を抱えていると実感されているかと思います。青木さんが書かれてきたものを読ませていただくと、いじめの問題とか、子どもが置かれている状況がすごく厳しいということを書かれていますけれども、その辺は取材されていて特にどういうことをお感じになりましたか? |
青 木: |
そうですね。自分がそのような問題に関わっていくことになったのは、やっぱり、83年に横浜で起きた、ホームレスの人が襲撃される事件が大きかったんです。学校に行くと先生からいきなり殴られる子がホームレスを襲った側にいたんですよね。
そのことが気になって、私は親から虐待されている子、放置されている子、それから、すごくかわいがられているようでいて本当は全然愛されていない子、学校の中でずっといじめられてひとりぼっちな子、そういう子たちと出会っていきました。
出会った子どもたちとは、他の人には喋らないことを私には喋ってくれて、お互いになんとなく会話ができて。そのため、ほかの記者たちが「どうして青木さんにだけ喋るんだろう」って言ったことがありました。 |