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第六回目のテーマは「生きていくための術」
教育ジャーナリストの青木 悦さんとの対話。
   
・・続き3(第四回)
箱 崎 : 分かります。私も青木さんのようなスタンスでいるので。
青 木: でもね、批判する人がいてもそれは全然構わないっていう感じがするんですよ。目的が違うって言えばいいのかな。
箱 崎: そうですよね。
青 木: 子どもがつらい思いをするのが一番イヤです。それはもう日本だけじゃなくて、世界中言えばいいのかな。だから、イラクで戦争が起きてケガをして病院に運ばれていく子とかを見ると、胸が痛くなりますね。
箱 崎: 戦争によって命を奪われたり、親を亡くしたりっていうことが他の国ではあって、日本は戦争もなくて幸せかというと、家庭の中で戦争が起きている。年間50人の子どもは虐待で死亡していて、ぎりぎりのところで生きている子どもの数まで把握できていないですから。戦争で他人から殺されるというのも悲惨だけども、家の中にそういう人がいるっていうことは、救われないですね。
青 木: 犠牲という言葉の意味から言ったら、最もすごい大人の犠牲ですよね。一番自分を愛してくれるはずの人から命を奪われるのですからね。
箱 崎: ええ、そうですね。
青 木: 恨むこともできないんですよね。外国人だったら「敵だ!」って言えるんだけどね。
箱 崎: 対象が目に見えてはっきり「あいつだ」って、「あの国だ」とかっていうのが、家庭の中だと・・・。
青 木: だから、虐待の一番つらいところは、恨む対象がないまま暴力に遭い続けるっていうところですよね。
箱 崎: 本当にそうです。ジャーナリストっていうのは一つの側面であって、青木さんの中では何かこう、私自身も似ているなと思うんですけれど、すべてが何か当事者運動みたいな感じで、それは話すこと、書くこともそうですし、それはもうジャーナリストっていう職業を超えた活動っていう感じですね。
青 木: そうなんです。本当にそんな話、滅多にこういうふうにしたことないので、すごく
嬉しいです。書いた本もね、私から見ると、別に完成品をつくろうとか、きちんとした本を出そうとかって書いているわけじゃないんです。

本自体をつくることが目的では全然ないんです。だからもう、ブックレットでもいい、 綴じ込みでもいい、今自分が取材してきて気がついて、今とても危ない、ここは言っ ておかなくちゃと思うところを緊急に書きたいって出したものばっかりなんです。 時々、「青木さんの中の一番の傑作はどれですか?」なんて質問する人がいるんです よ。こういう人はきっと著作っていうのをそういうふうにとらえているんでしょうね。作品とかね。ところが、私の場合は本当に緊急出版っていうのばっかり(笑)。

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