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第六回目のテーマは「生きていくための術」
教育ジャーナリストの青木 悦さんとの対話。
   
・・続き5(第四回)
悩む母親との手紙のやりとり
箱 崎 : 私の友人が母親と手紙のやりとりする青木さんのご著書の『たいせつなことはノ子どもと生きる「あなた」への手紙』を読んでとてもいいと言っていました。
青 木: ああ、そうですか。ありがとうございます。
箱 崎 : この本には、悩みを抱えた母親からのいくつかの手紙の内容が書かれていて、青木さんがそれに丁寧にお返事を書かれていて、それは母親として、妻として、女性として誰でも起こる悩みだなと感じました。
青 木: そうですよね。
箱 崎: 実際にそういうお手紙を読んで、青木さんはとても誠実にお返事を書かれていて、でも、結構はっきりと母親たちに言っていますね。「今はこれでいいですよ」とか、「いや、ちょっとこうしたらどうですか」と言ったり、「いや、これはよくありませんよ」とはっきりと言ったり。青木さんは優しさの中にも、しっかりと言うときは言っているっていう感じがいいなと思いました。
青 木: そうですか、そう言ってもらうと嬉しいです。お母さん自身も聞いてくるときに、もう結論をある程度出してから悩みを言ってくる場合もあるんですよ。それから、全くどうしていいかわからないときっていうのは逆に手紙なんか書けませんし、切羽詰まって電話かかってくるなんていうことが、ごくたまにあります。それが普通なんだろうなと思うんですよね。

だから、「手紙にしてください」って私が一生懸命言うのは、書きながらだんだん落ち着いていくっていうことがあるし、書くっていうことが、やっぱり私が昔からずっと日記書いてきたように、わけが分からない自分をちょっとこう、落ち着かせる要素というのがあるので、私は書くことを結構大事にしているんですよね。

お母さん方が質問してきてくれることに正直に言うことを心がけています。そうでないと、フェアーじゃないなと思うので。お母さん方の中には、すごく曖昧な言い方をしてくる人もいるんですよ、もうこっちが有利じゃないかみたいな形で言ってくる方もいます。有利とか不利っていう話に関しては結構すぱっと言います。それはもう、そうじゃないと、後で嘘をついたことになっちゃうんで、「そういうところで選んだら後悔しますよ」ってね。
箱 崎: そうですね。本の中の例えば子どもでも下の子が好きになれないという母親からの相談の手紙、私もそのような相談を受けたことがありますが、やっぱりその人自身の生い立ちにすごくかかわっているじゃないですか。
青 木: うん、そうなんですよ。その人が下の子だったんでしょうね(笑)。
箱 崎: はい。母親が下の子に手を上げてしまうことに、「もうご自分を許してあげたらどうですか」っていうふうに青木さんは手紙のお返事で言われていますね。なかなかその母親自身はそこまで気づいていないですよね。「何でこの子がこんなに嫌いなんだろう」って思ってしまって。
青 木: それで、子どもを嫌いになる自分がいけないって責めているんですね、二重にね。
その母親が私の回答を読んでね、「もう、私、目からウロコでした」って言っていました。「どうして青木さん分かるんですか?」って言うから、「だって、あなた、そういうふうに正直に書いてくれたから」って伝えました。
箱 崎: 是非、第2弾を出してほしいですね。
青 木: 編集者と「第2弾をまた出そうかな」って言っているんですけれどね。

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