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続き3・・・

 以下は偏食的過食の例である。
 「三歳のあきらは、順調だった最初の三日間(=見せかけの時期)が終わった頃から、ともかく色々な物を自分のしたいように食べさせてほしがりました。最初は味付け海苔でしたので、大瓶のをデンとテーブルに置きました。欲しい時に欲しいようにそれを食べさせました。」「次はヨーグルトでした。大きなカップの三個パックをそのまま手渡して、食べさせました。ペロッとその三個を食べてしまうと、『もっと・・・もっと・・・』と要求します。

 要求するとその都度二人でそれを売っているコンビニに一パック買いに行くのですが、それを食べてしまうとまた一パック―数日しても同じことの繰り返しでした。困った里親は協会に相談、もっと思い切りよく食べさせてあげてというアドバイスをもらい、今度は一度に二十個のヨーグルトを食卓に並べました。あきらは目を大きく見開いて、やおら二十個のヨーグルトの蓋を次々に開けてから、食べはじめたのですが、三個だけ食べると『もういらない』とやめてしまいました。」
 この後あきらはピーナッツバター、ふりかけと過食の対象を移していったが、いつの間にかそれも終わったという。

 家庭養護促進協会の進める過食への対処法は以下である。
 食事は三食作って、里親はそれをおいしそうに食べること。その上で以下のことを注意事項として記している。
 過食という表出をまるごと受けとめていくこと。山のように積み上げて「さあ、お食べ」ということ。
 「おおそうか。もっと食べたいか。いいよ、いいよ。さあこれもお食べ、あれもお食べ」
こうした対応によって極端な偏食だと3日、長くてほぼ一週間で終わる。ただし過食対象が移行することは「あきら」のケースでも明らかだと思う。

 過食という表出を受けとめられなかった場合。
・ 禁止の言葉を使う。「そんなに食べてはダメ」。
・ 取り上げる。
・ 否定的反応。「ええ―? まだ食べるの? お腹痛くなっても知りませんからね。」
・ 条件をつける―たとえばご飯一膳食べたら味付け海苔五袋というように。


このような対処法ではかえって過食は終わらない。なぜなら過食もまた受けとめられ欲
求の表出の一つであるのだから。
 また言葉や行動では阻止しなくても里親の気持ちが食べて欲しくないと思っている間はいつまでも食べ物に執着する。いつまでこんなことをしなければいけないんだという気持ちで苦々しく思いながら放置しているという接し方が続ける場合も結果は同じである。
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