第1回目 第2回目 第3回目 第4回目 第5回目 第6回目
   
 子ども虐待の防止を考えるとき、私たちは刻一刻と起きている現象と向き合いながら、深い視点で考えていく必要があります。目に見える部分だけでこの問題を読み解こうとすればするほど迷路におちいり、この問題からどんどん遠ざかっていきます。

 子ども虐待を少しでも減らすことを考えるとき、「ことば」の力を使ってみたいと思います。1つの「ことば」に光を照らし、見えない部分を深く掘り起こしていくとき、その「ことば」が光を放ち、新たな希望を少しずつ引き寄せてくれると信じています。

   
 子ども虐待防止を読み解く「ことば」として、最初に「養育の再構築」をあげたいと思います。今、養育(育児)のあり方が大変問われています。私たちはこの問題に対して、待ったなしの断崖絶壁に立たされています。

 そこで、社会評論家の芹沢俊介さんに、「養育の再構築」を連載執筆していただくことになりました。暴力、引きこもり、家族の問題に新しい概念を社会に投げかけてきた芹沢さんは、97年に、児童養護施設の施設長たちが始めた勉強会「養育を語る会」に声をかけられ、スーパーバイザー的な役割をするようになりました。

 虐待を受けて心身に深い傷を負った子どもたちを養育する現場にいる施設長たちは、これまでの養育論ではまったく役に立たないと「養育論の再構築」と言い始めて、新たな養育論を築くために、芹沢さんを勉強会に招いたのです。

 激しい心の痛みを抱えた子どもを養育する現場の声にじっくりと耳を傾けながら、新たな養育の概念を提案する芹沢さんのことばは、大人たちが長くトンネルに入ったまま途方に暮れている“子どもが育っていくときの大人のあり方”を示す道しるべです。

 芹沢さんが今回執筆された文章を読み進めるうちに、現在の子どもへの養育と、過去の親からの養育を振り返り、「養育の再構築」こそが子どもと大人を救う道だと実感することと思います。

オレンジリボンネット管理人 箱崎幸恵 
   
   
 
COPYRIGHT(C)2006 ORANGE RIBBON-NET & THE ANNE FUNDS PROJECT ALL RIGHTS RESERVED.