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・・続き2 一番誰にでも分かる症状は、見知らぬ人にベタベタとくっついていって愛嬌を振りまきますが、本当に愛してあげようとする人たちには近付かない、保護者や友達と目を合わせない、見え透いた嘘をつく、動物や小さい子をいじめる、泣き出したら泣きやむことを知らない、怪我して泣いていても誰にも「癒し」や「慰め」を求めない、又は怪我をしても絶対に泣かないなどです。 愛着障害はそれが有るか無いかという黒白ではなく、私たちはとても安定した愛着関係から、愛着の絆が全然形成されていないという状態までの線上のどこかにいます。ではどのようなことが愛着の絆形成の妨げになり、愛着障害の原因になるのでしょうか? |
1. 出産以前の原因:胎児期の8週から16週までが脳細胞が移動して脳を形作る時期ですが、このときに放射能を浴びたり、毎晩お酒を飲んだり麻薬を使ったりすると、脳細胞の移動が順調でなく、脳が正常につくられずに知能の遅れが見られて、生まれてから親の愛撫などに応えられず、愛着の絆がなかなか結ばれません。 2. 出産直後から:保護者特に母親の精神疾患は、乳児のニーズに応えてあげることを妨げ、愛着の絆がなかなか作れないことがあります。また母親からの別離(母の入院・失踪・死・赤ちゃんの入院など)で、「喪失」体験をして、赤ちゃん自身がうつ状態になります。このときは父親や、母親の代理になる一定の人がすぐに母親に代わって、愛情の深い関わりをすることが大切です。 3. 複数又は無神経な保護者からのケア:乳児のニーズにあまり敏感でない人たちが、時間で哺乳したり、泣いている赤ちゃんをほうっておいたりすると、緊張ホルモンが頭や体に充満して脳や体の発達を遅らせます。それだけでなく自分のニーズにすぐ応えてくれないので赤ちゃんに満足感がなく、保護者を信用することを学べないのです。 4. 虐待・放置:子どもの安全な基地となるべき保護者からの虐待や放置は愛着の絆が結べないだけでなく、成人してからの人格障害の大きな原因になっています。 日本では「抱き癖」をつけるから抱いてはいけないといわれて、母親たちができるだけ抱かないで子育てしようとしたと前回に書きました。 |
特に女の子を抱かなかった場合、女性ホルモンを作る遺伝子を黙らせてしまうという研究発表も書きました。これが日本における「子育て不安」「子どもが可愛いと思えない」など母親の悩みを生み出し、放置や虐待という児童悪待遇が増加する一大原因になっていると私は思います。 それで、この悪循環を断ち切るために、保護者たちに実行していただきたい「愛着を深める」関わり方をご紹介しましょう。このような行動を最初は「つまらない」「厄介だ」「この子はちっとも可愛くないのに」などと思いながらやっていても、行動から脳へのフィードバックで、黙っていた女性ホルモンの遺伝子が活性化して、子育て自体がだんだん楽しくなります。ですからあまり可愛がられずに育った母親でも、自分の子どもと愛着関係を作ることによってこころの傷が癒されていくのです。 (次ページへ) |
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