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<第3回 全5ページ> こんにちは赤ちゃん事業 愛着の絆についての記事の第3回目です。今回は新しく親になった人たちに愛着の絆を つくり深めるヘルシー・ファーミリーズ・アメリカ運動についてお話します。 2006年春米国オレゴン州の「健康な出発」プログラムのコーデイネーターであるカーレン・ヴァンタッセル女史が来日して、出産前または出産時から始まる「長期にわたる」支援訪問について日本の各地で講演なさいました。この早期の介入がオレゴン州で児童虐待・放置を半減したということが実証されているのです。読者の中には女史の「ヘルシー・スタート(健康な出発)プログラム」講演を耳になさった方もいらっしゃると思います。ヘルシー・スタートもヘルシー・ファーミリーズ・アメリカ(HFA) 運動の一貫です。 2006年8月22日の朝日新聞に乳児虐待防止を目的とした「こんにちは赤ちゃん事業」を厚生労働省が創設するというニュースが報道されました。これはストレスから虐待に走るリスクが高い子育て初期の親たちに、地域の人材から登用した「訪問スタッフ」が生後4ヶ月までの乳児がいるすべての家庭を訪れ、家族のサポートをする事業で2007年の4月から実施されるということでした。うれしいことにこの事業は2008年から児童福祉法にくみいれられ、その時に継続して支援が必要な家庭に「子育て支援家庭訪問」ができるようになりました。厚生労働省と国会の決定は児童虐待を無くそうと活動している児童福祉関係者にとって喜ばしいことです。 これからの日本では、訪問する人たちをどのように一貫して訓練して、「こんにちは赤ちゃん事業」で何をすべきか、継続して支援が必要な家族をどのように見出すか、その家庭を誰がどのように訪問して、親子の愛着の絆を深めていく手伝いをするのかが、課題となると思います。せっかく素晴らしい法律ができたのですから、この訪問活動を成功に導くために、アメリカのHFA運動から学んで行きたいと思います。 これまでにも日本では保健師が生後約一ヶ月までに家庭を訪問する新生児訪問指導などの事業がありました。ヴァンタッセル女史の通訳として大学や市町村を訪れたとき、本当に支援が必要な家族ほど訪問を断るので、介入ができないという悩みを耳にしました。その時2004年にオレゴン州を訪ね、家族支援ワーカーについて家庭訪問を見学なさった日本の助産師さんが、「私たちは看護師としての訓練を受けているので、問題を発見して指導するという態度で家庭訪問をするので嫌がられるのです。 オレゴンのワーカーのアプローチは親の良いところを見つけてそれを励まし、親が欲しい情報を与えるというやり方なので、親たちが毎週の訪問を待ちかねています。あのやり方を日本でも取り入れなければ」とおっしゃったのです。 (次ページへ) |
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