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 子ども虐待の防止を考えるとき、私たちは刻一刻と起きている現象と向き合いながら、深い視点で考えていく必要があります。目に見える部分だけでこの問題を読み解こうとすればするほど迷路におちいり、この問題からどんどん遠ざかっていきます。

 子ども虐待を少しでも減らすことを考えるとき、「ことば」の力を使ってみたいと思います。1つの「ことば」に光を照らし、見えない部分を深く掘り起こしていくとき、その「ことば」が光を放ち、新たな希望を少しずつ引き寄せてくれると信じています。

   
 子ども虐待防止を読み解く「ことば」として、2番目に「愛着の絆」をとりあげたいと思います。英語のアタッチメントを日本語で「愛着」と訳されています。このことばが、児童福祉の世界でブームになっていて、最近よく耳にします。

 このことばが持つ真の意味を理解するため、ヘネシー澄子さんに「愛着の絆」を連載執筆していただきます。ヘネシーさんは、ソーシャルワーカーとして、長くアメリカで活躍された後、現在は日本とアメリカを行き来しながら、大学や講演、そして研修を企画して、愛着の絆の大切さを伝えています。講演では毎回、子どもが育っていくときに、親や親代わりなどの養育者が子どもと愛着関係を築くことは不可欠と熱く語っています。

 虐待を受けた子どもの治療は、これまでトラウマの治療にだけ焦点があたっていましたが、それだけでなく、愛着の絆が結ばれることで、子どもの心の中で、本当の癒しが起こります。そのことにやっと目が向けられるようになってきました。親に裏切られ深く傷ついた子どもが、再び人を信じ愛着の絆を結ぶ道のりは大変困難です。
  
 ヘネシーさんは、虐待を受けた子どもを受けとめる養育者である里親への講座も定期的に行っています。子どもは、この世に生れ、親との間に愛着の絆が結ばれることで、自分への信頼感を育み、他者への信頼感が生まれます。「愛着の絆」について、親や親代わりとなる子どもの養育者になる皆さんに知っていただきたいです。

オレンジリボンネット管理人 箱崎幸恵 
   
   
 
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