第二回目のテーマは、「依存症と子ども虐待」アディクション・カウンセラーで依存症の回復者の
スコット・ジョンソンさんとの対話です。
   
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続き7・・・

箱 崎 : 感情の抑圧は、社会にどのような影響を与えると思いますか?
スコット: 感情が麻痺すると自殺する。日本は自殺率がアメリカよりも、2倍高いと聞きました。
箱 崎 : はい、年間3万人が自殺しています。いじめが原因など、子どもの自殺も増えています。
スコット : それからうつが非常に増えていることとも大いにつながっているし、アルコール依存症も増えていると聞きました。その国のことをわかろうとしたら、その国が子どもをどう扱っているか、子ども対策を見ればわかる。私の意見では、この国はアメリカよりも子どもへの扱いがマシだと思います。

子ども虐待防止というのは、一人ひとりが参加しなくてはいけない。問題を無視したり、そのことを話さないということは、問題を助長することになるから。真実を出した後で、感情について話すことが必要だと思います。
箱 崎 : 真実を出すというのは?一人ひとりが参加するというのは具体的にどういうことですか?
スコット : たとえば、虐待とは何かということの理解を深める。たとえば、アメリカでは、お尻を叩くのは虐待ではない。もちろん大いにやっていいといっているわけではない。でもお尻を叩くのは、頭を叩くのとは違うでしょ?アメリカでは、お尻は叩いてもいいことになっている。それは虐待ではない。でも物を使って叩くのは虐待。二つめは、そういくことに気づきが出た上で、次は、それを声に出す、ということができると思います。

ある日、私はスーパーマーケットに行きました。そのときに3人子連れのお父さんがいて、子どもたちがあちこちに行く。子どもが自分の側にいないと、だんだんお父さんが頭にきて、子どもにこっちに来なさいと怒鳴っているけど、なかなか言うことをきかない。イライラしているのが明らかにわかった。それで私はそのお父さんのところに行きました。それから私はそのお父さんに落ち着いてこう言いました。「あなた、今、その子の耳をひっぱったでしょ。それは虐待ですよ」と。
箱 崎 : そのお父さんは、どんな反応をしましたか?
スコット : びっくりした顔をしていました。私はひとこと言っただけ。でも彼は全く見知らぬ人がやって来て、今あなたがしたことは虐待と言った。次にやるときは、そのことがちょっと頭に残るのではないかと思います。親としてイライラするのはよくわかるけれど。

でも地域社会の誰かが虐待だと言ってあげることが大事です。ちゃんとした服を着ていない子どもがいたら、そのことを誰か親に言ってあげる。みんなで見守れば、子どもの虐待はだいぶ防げるようになると思います。

解決は、いつも政府の組織、虐待対策委員会の誰かに解決されるものではなくて、地域みんなで見守ることしかないと思う。いっぱい、私たちのレベルでできることがあるはずです。
箱 崎 : 地域での見守りをどのようにしていくか、日本のこれからの大きな課題です。
  語るScott氏
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