第三回目のテーマは、「ドメスティック・バイオレンス」DVコンサルタントで、DVサバイバーの中島幸子さん
との対話です。(前半P1〜P8)→(後半P9〜P15)
   
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続き2・・

箱 崎 : 支援をしていて、DVが増えているという実感はありますか?
中 島 : DVが増えているというよりも、DVの認識が高まって、もしかしたら私も、と思う人が増えたのだと思います。
箱 崎 : DVについて伝える人を養成しているファシリテーター講座を受けた方たちには、どのようなことを望んでいますか?
中 島 : 私たちのやり方が、ファシリテーター養成講座を受けた人たちを通して、ある程度伝えられたらいいと思います。それから、情報を自分たちの財産と抱えてしまうのを変えていかなくてはいけないと思うのと同時に、講師の在り方も変えていく必要があるかと思います。

今までの通常の講座は、講師となる人が、こうすべきですよ、こうしなさい、と話すことが多かったと思います。でもそうではなくて、答えはそのDVの講座を受けた人一人ひとりにあるんだ、と信じながらファシリテーターの役目を行うことが大切です。そのことが本当に伝わるといいなと思います。

ただ、どうしてもそういうことに慣れていないと、あなたの場合はこうしたほうがいいという発言につながってしまうと思うので、それは心配しています。
箱 崎 : 『レジリエンス』の講座は、中島さんと西山さんが共にDVの被害体験があって、自分たちの体験を話しながら進めているのが特徴かと思います。
そういう講座の進め方は日本では新しいと思います。日本の専門家は自分のことは全く話さず、当事者の心には届かない話になってしまいがちだと思いますから。
中 島 : 自分のことを伏せて話すだけだと、偉い人になっちゃうでしょ?私は講師としてここで話しています、という感じで。私は全然偉くないから(笑)
箱 崎 : 日本の現状はほとんどそうだと思います。
中 島 : それは変えないといけないですよね。私は先生と呼ばれるのが嫌いで、そう呼ばないでほしいとお願いしています。たとえば、私がカウンセリングに通っているということを講演で話すのですが、講演を聞きに来た人から、講師としてきているのに、カウンセリングに通っているんだ、と思われることがあります。でもそこがポイントなのです。
箱 崎 : 私はそういうことを正直に話す方を信頼します。自分のセルフケアを大切にしているということだから。
中 島 : だって本当にカウンセリングに通っているから(笑)
箱 崎 : 私の信頼しているアメリカ人のアディクションのカウンセラーは、1年に1回、年末にワークショップを開催しに来日するのですが、日本に来ている1週間の間にも、英語のアルコール依存症の自助グループのAAに行っています。そしてそのことについて話すのを聞くと、すごく共感できます。私も子ども虐待防止の活動をしながら、カウンセリングを受けたり、自分の課題に取り組むため、自助グループで、自分の体験や気持ちを分かち合います。そのことも講演で呼ばれたときには話します。
中 島 : それが自然なことだと思います。

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