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・・・続き6

〈ペアレント・パートナーズ〉

 レイラは麻薬更生治療とたくさんのヒアリングを経て、去年の夏、3人の小さな子どもたちとの再統合がかなった。アシュリーは現在18歳、すでに2児の母となったが、彼女は3世代つづいた虐待の連鎖を断ち切り、今夏、子どもたちと新居に移る。デルシアの親権剥奪に関する公判が行われ、私は先年の5月、2日間、証言台に立った。

 判事は、母親は子どもたちを心から愛しているが、精神鑑定の結果が、デルシアの親としての特別なニーズのあるふたりの年少の子どもたちの安全と生活の安定を確保することの能力に欠けることを証明している、と述べ、親権の剥奪を決定した。判事はまた、子どもたちの母との未来のつながりを重要視し、年に2回の手紙の交換と面会を許可した。

 ワシントン州では、近年「ペアレント・パートナーズ」が生まれ、活動を繰り広げるようになった。
 子どもとの再統合をとげた親たちが、現在子どもと離れて暮らす親たちを支援するプログラムだ。このプログラムのスタッフやボランティアは、親たちと向かい合い、どうやって児童保護局とこれから付き合ってゆくべきか、ソーシャルワーカーを自分の敵に回さず、信頼関係を築いて効果的に仕事を進めるにはどうしたらよいかを指導する。

  彼らは、親たちと裁判所に同行し、家族会議にも出席する。手取り足取りの応援役である。『ピープル・チェンジ。ファミリーズ・リユナイト。(人は変わる。家族は再統合する。)』という題目の機関紙を発行して、このプログラムはいま、フルパワーで前進中である。

 そして今年6月、シアトル市の裁判所では、子どもとの再統合を果たした親たちの努力と成功を祝うイベントがいくつか繰り広げられた。今ではペアレント・パートナー・プログラムのボランティアとして働くようになった、レイラの姿もそこにあった。 虐待の加害者である親たちの位置、彼らの存在の意味が今、少しずつ変わろうとしている。
<了>

* ファミリー・ティーム・デシジョン・メーキング(FTDM)は、特別な訓練をうけたファシリテーターのリードにしたがって行う家族会議。ワシントン州、そして米国の多くの州の児童保護局がこの会議を活用している。
 
 12歳以上の子ども、実親、親族、里親、子どもの擁護人、隣人、学校関係者、セラピストなど、ケースにかかわるあらゆる人たちが招かれ、子どもの安全な措置場所を確保、維持するために1時間から2時間の話し合いを進める。 子どもを親から分離する前、そして分離した直後、実親が子どもを安全に育てていけるかどうかが協議される。

 この会議は、親に代わって子どもを育てる親族を見つけ出し、ソーシャルワーカーが親族里親の支援の準備にかかる場でもある。子どもが親元にもどるとき、そして、子どもの措置場所を変えなければならない時も、この会議を使う。



   
 
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