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第六回目のテーマは「生きていくための術」
教育ジャーナリストの青木 悦さんとの対話。
   
・・続き4
「しつけ」という言葉は死語にしたい
箱 崎 : 最後に、「しつけ」という話を本の中で青木さんは「生きていくための術」と置き換えていますね。私は虐待事件の裁判の傍聴をすると、被告人である親は必ず「しつけのやり過ぎでした」と言います。子どもが死んで、しつけのやり過ぎっていうのは何なのかなっていうのが私もずっと分からなくて。「しつけ」という言葉自体にも、不信感もあります。親っていうのはしつけをするもんだ、それが親の役割で、子どもを叩くこともやむをえないと、暴力も認められている言葉に感じられます。私はそれに対してすごく抵抗感を持っていました。だから、青木さんがしつけを「生きていくための術」っていうふうに表現して、そういう言葉ならいいなと思ったんですね。
青 木: そうなんですよね。もうちょっと言葉がこなれたらね、短い言葉が見つかるんだけど、しつけっていう言葉だけは少なくとも死語にしたいなと思うんですよ。
箱 崎: はい、そうですね。
青 木: だって、実際に問題を分けて考えなきゃいけないのは、虐待で子どもが死んでしまった親が、「しつけだった」って言っているときの、あの「しつけ」っていう言葉はね、やっぱりね、「腹立ち紛れだった」って言った方が正確ですよ、事実としては。
箱 崎: そうですね。
青 木: 「憂さ晴らしだった」って、自分の苛立ちのね。でも、それを「しつけ」っていう言葉に置き換えてしまう、それを許す土壌があるわけだから、しつけっていうことは。今度の教育基本法にも「しつけ」っていう言葉自体は入っていないけど、「親が子どもをきちんと育てるべき」っていうね、やっぱりすごく変な1行が入っている。だから、それでよけいまた「しつけしなくちゃ」と言って。でも、大半の人は、「しつけなくちゃ」といってやり過ぎていても、虐待死まではいかないで結構止まっているんですよ。それは子どもの方が抵抗したりして。
箱 崎: ええ、そうですね。
青 木: だから、虐待の場合は、やっぱりね、私も裁判は行ったんですけれど、「しつけ」っていう言葉で逃げているっていう感じ、それが正確かなと思うんです。「しつけ」っていう言葉はもうやめようというのは提唱して歩いていますけれどね。
箱 崎: ああ、ぜひ、子育て本にあるこの言葉をすべて排除してほしいです。
青 木: そう、全部消したいよね。「しつけ」っていうのは、「身を美しく」っていう漢字ですけどね。だってさ、2歳の子が肘ついて食べていたからっていって、毎日、マンションの部屋の玄関の外に出すんですって。それも冬にね。肘ついて食べることよりも、食べ物を口に入れてもらう方が先決の時代じゃない、2歳っていったら。
私なんて、子どもが逃げ回るのを追っかけて行って、後ろから食べ物をシュッと放り込んでいました。とにかく今は食べ物を子どもの体の中に入れなきゃって。優先順位の問題だと思うんだけどね。「しつけ」っていう言葉を使うのはもうやめてほしい。

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