箱 崎 : |
親子でも親と自分とは違うんだっていうことですね。 |
青 木: |
そうなんですよ。 |
箱 崎: |
何か、自分が思っていた、望んでいたものと全く違うことを選んでいくっていうことで、考えも違うんだっていう・・・。 |
青 木: |
違うんです。もう、思想も全然もちろん違うんですよ。だから、親子っていうのが、どっか一致点があるみたいに勘違いしてしまう。DNAはつながっているかもしれないけれど、生きていく上での、この社会での判断も価値観も一緒みたいに思っているのがすごく大きな間違いだったなというのが逆に分かるんですよね。
そうすると、その母と手を取り合って和解するなんていうことも幻想だし、父と分かり合うことも幻想だし、結局、生まれた後、私はどう生きるかで必死で生きてきたんだから、もう自分を取り返そうとして一生懸命生きてきたんだからもういいじゃないかって。その辺が何か許せちゃうっていうことになるんですかね。追及しないっていうことが。 |
箱 崎: |
そうですね。今のお話ってすごいですね。青木さんご自身の中にも自分の中にもお母さんが持っている面があったっていうことに気づかれたとは。それは、自分はすごく嫌だなと思っていた親の部分が自分にもあるっていうことに気づいたっていうことですよね。 |
青 木: |
そうです。親子ってそんなものなのかなってね。だから、愚かなものなんだなっていう感じはすごくありましたよね。その自分の愚かさに気づいたときに、母もきっと愚かな人生を生きてきたわけだから、まあ、どっちかが正しくて、どっちかが間違っているっていうことじゃない、お互いに不完全な同士が生きていくんだから、ありよね、なんていうような。あきらめでもない、でも、まあ、別にそれで寂しいとか悲しいとかじゃなくて、そこは何となくよく分かった感じですね。
だから、そういう考えでみんなに言うようにはなってきましたね。もう自信持って言えますよ、「親子、一緒じゃありませんから」って(笑)。 |
箱 崎: |
そうですね。「血は水よりも濃い」とか言うけれども、全然違いますね。 |
青 木: |
全然違う。「幻想は抱きなさんな」っていうことは、今はもう堂々と言えますね。体験してきたから。 |
箱 崎: |
すごい幻想社会ですね。 |
青 木: |
もう、そうなんです。今は特にそうですもんね。 |