箱 崎 : |
その当時は、何かこう、「抱きぐせがついちゃいけない」とか言われていましたけれど、今は逆に、「抱かせてもらえる子どもの時期は短いんだから、もうその間は抱き締めていい」って、そういうことによって「愛着関係が築ける」と。もうガラッと変わって。 |
青 木: |
そうなんですよね。子育てって、ころころ変わるんですよね。「個室がいい」って言われてみたり、「個室は不幸の温床になる」って言われたり。 |
箱 崎: |
そうですね、青木さんが感覚的にこれはいいと思われた養育が、今はすごくいいって言われています。抱きしめて、「悲しかったね」とか「よかったね」と子どもの気持ちを受けとめるというのは、子どもの安心感を育むのにとても大切なことと言われています。
青木さん自身が、ご自分がそうされることですごく安心感を得られたっていうことで、息子さんにもやりたいと思ったのですか? |
青 木: |
そうなんです。たった一つの私の確信だったんですね。うちの子にそんな不安があったかどうかわからないんだけれど、子どもというのは、やっぱり不安を抱えているんだから、どんとかばってもらえたら、子どもはまたそこから立ち直っていけるっていうことにすごく確信があったものですから。本当に過保護でしたね。ただただ可愛がるっていうか。だから、しつけなんてろくすっぽしたことないですよ。 |
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箱 崎: |
それでもやっぱり子育ては大変で、青木さんはきつくなったときに、就寝中の旦那さんにウイスキーをかけたとか。 |
青 木: |
そうなんです(笑)。 |
箱 崎: |
それは子育てを手伝ってほしいっていうアピールだったんですか? |
青 木: |
そうなんです。一緒にやってほしいっていうね。 |
箱 崎: |
一緒にやってほしいって、それは言葉ではなかなか出なかったんですね。 |
青 木: |
はい、言葉には出せなかったんです。そこがやっぱりね、自分でやらなくちゃいけないんじゃないかって。そこが女のしんどさだと自分で思ったんだけれど、そのときはわからないままでした。
私は新聞記者をやって、それから家に入ったから、最初は、仕事の能率と同じように育児をやるわけですよ。だから、そのリズムのおかしさに気づいていない。子どもって思い通りにいかないでしょう、一番泣いてほしくないときに泣くし。
もう、その思い通りにいかないことにまずいらついていたのと、それから、家にじっといて、子どもと二人で向き合っているというのは結構退屈なんですよ。 |
箱 崎: |
ああ、そうですね。 |