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第六回目のテーマは「生きていくための術」
教育ジャーナリストの青木 悦さんとの対話。
   
・・続き6(第三回)
箱 崎 : そうですね。本当は全然相手の気持ちを分かっていなかったということを。
青 木: そう、そう。耐えていただけでね。でも、そうなるとね、またそこで腹が立つんですよ(笑)。もう、それの繰り返しでしたよ。
箱 崎 : ああ、そうですね。「信頼することは表現すること」っていうのは、すごくよくわかります。
青 木: 本当に。私も、それも体験の中で学んできたことで、そのくらい人との信頼関係をつくるのにものすごい時間がかかるのね。子どもの頃から、のびのび生きてきた人っていうのは、そんなこと考えもしないで、ポ~ンと言ってるじゃない、好きなように。もう羨ましいですよ。
箱 崎: 私もすごく羨ましいです。私の6歳年上の親友の女性がとても感情表現が豊かで、女性にも男性にもとても人気があるんです。なんでも自分の感性を信じて選択していくことが、ごく自然にできていて・・・。
青 木: そうなんですよ。今、同居して2階に住んでいる私の親友もそうなんです。だから本当にのびのび育っているっていう人が羨ましかったんですよね。だけど、彼女も誰かと暮らしてみたり、離れてみたりと、いろいろなことをしながら、年取ってから、私たちと一緒に家を借りてというふうになって、彼女は写真家で夫とも仲良しだったんですね。

だから、それでよかったんだけれども、結論として出てくるのは、「同じかもねえ」って。全く苦労知らずで育ったように見えるけれども、これまで生きてきた中では、いろいろと傷つくこともあったと思うし。
箱 崎: ああ、そうですね。全く何もないという人はいないですね。私も子どもの頃からそういう幻想があって、友人たちに対して、この人は本当に幸せな家庭に育ってきて、何も苦労もなく羨ましいと感じていたんですけれど、だんだんそうでもないということがわかってきました。年を重ねていくうちに、自分のことや家族のことで悩んだり・・・。
青 木: 苦労していない人なんていないのよ。年を取ると、周りの状況も変わってくるしね。親だとか兄弟だとか。そうなってくるとね、「結果としては同じかもねえ」なんてね、この年になってよく話をするんですよ。「でも、途中、全く違う環境に生まれた人同士が出会って、お互いにないところがあってすごく助けられるっていうことってあるよね」って。
箱 崎: ああ、本当にそうですね。

(第四回へ続く)
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