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〈里親のリクルート〉
ワシントン州では、数年前までは、里親にライセンスを認可し、訓練し支援する部署も児童保護局の中にあったが、現在ではフォスターケア・ライセンシング局として分離され、いっそうの専門性と独自性を背負って業務を行なっている。
私は、シアトルのあるキング郡の里親リクルートの現状を聞くために、フォスターケア・ライセンシング局のマネージャーのローラ・ハダッドさんにインタビューした。
「私たちの使命はふたつあります」とローラさんは言う。 「ひとつは、まず里親の数を増やすことです。もうひとつは、里親を減らさないように維持していくこと。キング郡の里親の数はいま950軒。そのうちの、450がフォスターケア・エージェンシーのような私立の組織が持っています。残りが、州のライセンシング局が直接管理・監督している里親。私たちは、私立の団体と協力し合いながら、里親リクルートのために、あらゆる努力をしてきました。新聞、ラジオなどのメディアももちろんですが、教会やビジネスにも手助けしてもらっています。
里親リクルートのために、この1年ぐらい、私たちは子どもたちの通う小中学校に目をつけました。学校の先生や校長先生たちに、里親リクルートのキャンペーンに協力してもらうのです。学校の行事の中にキャンペーンを盛りこんだり、里親募集のことを書いたチラシを生徒たちから親たちに手渡してもらう。地域のなかで、里親を増やすことはとても大切です。里子が自分の育った町や村を離れずに同じ地域に住み暮らす機会を与えるからです。この郡でも、里親不足が続いて里子全体の3割がキング郡の外に措置されているのが現状です。それを改善しようとする努力はこれからも続きます。
里親になりたい、と考える理由は人によってさまざまですが、いちばん大きな理由はやはり『アダプション〈養子縁組〉』です。外国からの孤児を簡単にアダプションできる時代が終わったので、実際に養子として育てることができる子どもたちは国内が主になりました。もうひとつは純粋に里子たちを助けたい、という博愛の気持ちです。
里親を増やして維持していくためには、里親たちが集える機会をたくさんもうけることです。里親が里親業をやめる原因のひとつは、『孤立』である。
ソーシャルワーカーからも、他の里親からも支えられていないという不満が挫折感を招きます。里親たちが地域ごとに集まり知恵や情報を交換するために、まずリーダーを選出します。これをハブと呼ぶ場合がありますが、このグループは、レスピットを交換したり、トレーニングのために専門家を招いて講演会を開いたり、そんなクリエーティブな活動が里親維持につながっています」
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