top   1   2   3   4   5   6   7   8   9
 
 
 
・・・続き3

〈里親の種類〉
 私がディーのソーシャルワーカーになったとき、彼女は17歳で、すでに施設で生活していた。この国の里子の半数近くのケアをしているのは里親たちである。里親が里子を虐待やネグレクトをするケースは決して数多くは無いけれども、全米どこにでも存在し、時おりメディアを通じて、その実態が報道される。ディーの里親の家庭での悲惨な出来事は、彼女のその後の人生を決定的に変えていった。だが多くの里親は、わずかな金銭的報酬にもかかわらず、虐待やネグレクトで身も心も粉々になった見知らぬ子どもを我が家に暖かく迎え入れる、博愛の精神に富んだ人たちだ。

米国の里親も日本と同じようにいくつかの種類がある。
●レシーヴィング・ホーム (1日から30日までの短期間の里子の世話をする里親)
●ロング・ターム・ホーム(長期間、里子を養育する里親)
●レスパイト・ホーム(レスパイトだけを提供する里親)
●アダプティブ・ホーム
 (肉親の親権がすでに剥奪されている子どもたちの養子縁組をする里親)


 ひとりの大人が里親になるまでには、いくつものステップをくぐりぬけなければならない。まず、数10時間に及ぶ訓練を受け、ライセンスを受けるにあたって、住居の安全性と環境、里子の受け入れに関する許容限度を調査され、家に住む18歳以上の人間全員の素性調査が、インタビューと指紋採取によって行われる。

 里親に与えられる報酬は地域によっても、子どもの条件によっても大きく異なるが、9才の子どもひとりを育てるために里親に支払われる金額は、年額平均4930ドルだ(米国政府の調査では、9才の子どもにかかる年間の費用の全米平均は、8260ドル)。子どもの医療費は政府の医療保険でまかなわれているものの、この金額では食費と衣料費もままならないだろう。

 里親は、里子を学校へ送り迎えし、クリニックや歯医者に連れて行き、子どものことで校長室から呼ばれれば学校に出て行き、子どもに関するすべての問題をソーシャルワーカーに報告して話し合い、場合によっては子どもの親の面会も、児童福祉局の指示にしたがって監督しなければならない。法廷に向けて、子どもの発育状態をレポートするのも里親の役目だ。 





   
 
COPYRIGHT(C)2006 ORANGE RIBBON-NET & THE ANNE FUNDS PROJECT ALL RIGHTS RESERVED.