第三回目のテーマは、「ドメスティック・バイオレンス」DVコンサルタントで、DVサバイバーの中島幸子さん
との対話です。(パート1)
   
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続き3・・

箱 崎 : 他にどんなことがありましたか?
中 島 : 突然、思いがけない所に現われて、驚くことが何度もありました。たとえば、夏季留学で日本に行く予定でいたとき、何度もそのことについて話していたのですが、日にちが近づいてくると、機嫌が悪くなっていき何度も暴力を振るわれました。出発の日には、相手は行っていいと言って空港まで送ってくれました。そして、いってらっしゃいと言われて別れました。
その後、私が次の乗り換えの空港で飛行機を待っていたら、相手が突然そこに現れて、次の飛行機に乗ったら自殺してやるとわめきちらして、エスカレーターの上からお財布とか腕時計を投げ落として、こんなものいらない、もう生きていけないと始まって・・・。

数時間かけて相手を説得しました。毎日電話をかけるし、手紙を書くからと約束して飛行機に乗って日本に行きました。でもその1ヶ月間、時間かまわず、何回も何回も電話がかかってきて、ホストファミリーのところに泊まっていたので、大変迷惑をかけてしまいました。電話では罵倒されるし。
そのように、フッと現われることが何度もありました。まさかこんなところに、というところに突然現われるのです。だから一緒に暮らしていなくても、私はいつも監視されているようでした。
私がインターンシップで仕事に行かなくてはいけないときに、最初に行った派遣先に初日に相手が現われて暴れたのです。すぐに追い出されて、私もインターンシップを拒否されました。

次に派遣された会社は女性しかいないところでした。でもその会社に行くときに、相手が自分の車に乗れと言ったらそれに従い、バスに乗れと言われたらバスに乗って行きました。でもバスを降りると、バスの後から相手の車が着いてくる・・・。
このようなことが繰り返されて、逃げられないということが私の心の中で、すごく植えつけられてしまいました。
箱 崎 : 中島さんは、4年半たったころに、相手から逃げましたね。逃げる決心ができたのはなぜですか?
中 島 : きっかけは相手が自分の飼っている動物を虐待して死なせたからです。それを知ったときは、とても言葉にはできないぐらいのショックを受けました。もしも相手と結婚して子どもができたら、子どもにも虐待するだろうと思いました。そう思うと激しい恐怖感がわいてきました。
それで、つきあいの最後の日に親に迎えに来てもらって、ホテルに一人で泊まって、次の日に親に買ってもらった航空券で、全然違う土地に飛んで行きました。そして4ヶ月、隠れていました。
箱 崎 : ご両親にはどのように説明したのですか?。
中 島 : そのときは話していないと思います。ただ電話して迎えに来てほしいと頼んだときに、私が電話口でずっと泣いていて、あまりにも泣き方がおかしいし、私が家に帰れないとしきりに言い「危ない、危ない」と言っていたから、親もだいたい察して、航空券を買ったのだと思います。
箱 崎 : ご両親には後でお話したのですか?
中 島 : はい、詳しく話すまでにはかなりの時間がかかりましたが・・・。
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