子ども達から、両親への感謝の気持ちを教わりました(4)
-虐待防止の情報「栄養面から診る虐待と暴力」-2-  
 ※・・続き4 元児童養護施設職員、里親
長浜 清江

心の病とも関係がある栄養面

 近年、うつ病を患う方が増えてきたように思います。四人に一人はうつ病になるといわれる時代。精神病院も心療内科と名前を変え、敷居が低くなり、多くの方が気軽に心療内科へ通院しているようです。私の身近な友人にも、うつ病や統合失調症の方がいます。児童養護施設に来る子どもの親御さんの中には、精神を患っておられる方も多いです。ただ残念なことに、多くは薬漬けで、良くなる傾向がみられないことです。

精神を患っている友人の食生活はどうでしょうか。ジュースやお菓子など、甘いものを常に摂っているかた、缶コーヒー(角砂糖が6個は入っていると言われている)をよく飲む方、糖質に偏った食事など、かなりの偏食傾向がありました。また、ダイエットがきっかけで、偏った食生活とリバウンドを繰り返した過去がある方もいました。
いくら、母親が栄養に気を配った食事を用意しても、ダイエットや偏食を直そうとしなければ、やはり少しずつ精神に影響が出てくるそうです。これも、低血糖症と深い関係があります。一人暮らしや、働き盛りの人も要注意。一人だと、つい面倒くさくて、お菓子を食べて済ませてしまったり、おにぎり、パン、ラーメン、チャーハンと、糖質や甘いものに依存した食生活を送ってしまいがち。かくいう私もその一人でした。

胎児の時から栄養アプローチ
 分子整合栄養医学を学んだ医師やカウンセラーの指導で、栄養をしっかり摂った妊婦から生まれてくる子は、夜泣きをしない、まとまって寝てくれ、病気もしにくく、育てやすいというデータがあります。第一子は食事に気をつけながら、食べたいものを中心とした状態での出産。第二子はしっかりと栄養指導に基づいて出産。そうした比較ができたかたが声をそろえて「こんなに育てやすいとは。本当に心穏やかに子育てができる」と言われています。
子どもが育てやすければ、それによる虐待や暴力が減るかもしれません。親子共々、栄養面からくる精神的な落ち着きがみられるでしょう。とはいえ、ストレスの多い社会です。ストレスは、身体の多くの栄養を消費し、また、いくら栄養を摂っても身にならないようで、精神面と密接に繋がっているのは事実のようです。

 ソーシャルワーカーによる定期的な家庭訪問を行うことにより、虐待を未然に防ぐことがきるという、アメリカのワシントン州シアトルでの報告があります。日本では「こんにちは赤ちゃん事業」がありますが、こうした家庭訪問の際に、栄養面へのアプローチも同時に行うことができると、また知識として知っているだけでも「何を選択すれは良いのか」がわかり、行動が変わってくるのではないかと期待しています。
(虐待防止の情報:了)

参考文献
「その食事では悪くなる」 大沢博 三五館出版
「診立て違いの心の病」 溝口徹 第三文明社出版
「分子整合栄養医学概論 上下巻」 分子栄養学研究所出版
「第28回 資生堂児童福祉海外研修報告書」 財団法人 資生堂社会福祉事業財団






セルフケア
タンパク質たっぷりの食事を摂ること。読書、旅行すること
☆プロフィール
長浜 清江(ながはまきよえ)

長野県生まれ、千葉県育ち。
児童養護施設で保育士として働いていた時に「分子整合栄養医学」に出会う。現在、栄養カウンセラーを目指して勉強中。分子整合栄養医学協会会員。平成21年4月から里親として里子を育てている。
   
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