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時によって、子どもを親の目の前から奪い去らなければならないソーシャルワーカーには、その親と偏見抜きで人間として向き合い、励まし、サービスを与え、支えていく仕事が待っている。自己を惜しみなく切り刻んで与えていくような職業である。そんなソーシャルワーカーたちの仕事を理解している人は世間には意外に少ない。ソーシャルワーカーの総体的なイメージの低さと職務に対する偏見について、職場内でも頻繁に話題になる。
だが、この国の児童保護ソーシャルワークにとって一番の難題は、職業に対するイメージの悪さや間違った見解ではなく、大量な退職によるソーシャルワーカーの不足だろう。全米の児童保護ソーシャルワーカーの退職率はその郡や州によってまちまちだが、連邦政府の調査によるとおよそ6割の児童保護ソーシャルワーカーが毎年退職している。仕事の困難さと日々のストレス、低賃金と過剰な労働時間を強いるこの仕事には、手違いがあれば、市民や団体からの訴訟も起こされる危険性もある。
ある調査によると、全米の9割の州が欠員になったワーカーを補充し維持することの困難さを訴えていることがわかっている。 アメリカのソーシャルワークは、歴史的には、貧困や差別やあらゆる障害に苦しむ社会の底辺層の人々との仕事から始まった。現在は、臨床心理のブームとともに、およそ4割のソーシャルワーカーが臨床心理士として個人開業し、中流階級以上の人々とセラピーをしている。このままで行けば「ソーシャルワーカーは地域での貧しい人々との本来の職務を忘れてしまうかもしれない」という懸念さえある。
そんな傾向を食い止めるため、多くの州が、連邦や州政府の予算を利用して児童福祉ソーシャルワーカーの育成のための教育基金を設けている。大学院で福祉を専攻する学生に学費を支給し、その引き換えに児童福祉のソーシャルワークの仕事に一年以上勤務を契約させるプログラムだ。専門分野の学業を修了したソーシャルワーカーの退職率は低いことも報告されている。
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