カウンセラー 熊谷珠美
・・・続き2


SFRチームは4人〜10人ぐらいの少人数で行うグループです。チームの1人がケースの発表者に、他のチームのメンバーは全員、援助者、つまりスーパーバイザーになります。また、一人が司会とタイムキーパーとして進行役を担います。
そして、次の6段階を経ていきます。

1・準備する(Preparing) ケースの発表者がチームから何を得たいか考えておく。

2・発表する(Presenting) 発表者が相談の概要を話す。特に何に助けが必要かを
  チームのメンバーに簡潔に伝える。

3・明確にする(Clarifying) チームのメンバーが、状況や発表者の良いところを
  正確に理解するための質問をする

4・肯定する(Affirming)チームメンバーから発表者にそれぞれが受けた良い印象について
  簡潔に伝える。

5・省察する(Reflecting)チームのメンバーが発表者の話を聴いて考えたことや、
  アイデアなどをそれぞれ順番に提案していく。
  このとき発表者は静かに耳を傾けて、自分に必要なものだけメモをとる。

6・終結する(Closing)発表者がミーティングで得たものを簡潔にコメントする


ここでは詳しくご説明できませんが、SFRチームをうまく進めるためのルールや時間配分の目安が各段階である程度決まっています。1ケースにつき全部で30分以内で終えられるようになっていて、そのルール通りに進めると、ソリューションフォーカスの視点でピア・スーパービジョンができるように組み立てられています。
  初めて会うかた同志でSFRチームをやったときのことを少しご紹介します。

準備の段階の後、発表の段階でカウンセラーのお仕事をしているJさんが、ある相談者について、ある程度長く相談にのっているが、今度の方向性についていくつか迷っている状況を話してくれました。

・次の明確の段階で、チームのメンバーがJさんの状況を明確にしていく質問していくと、さらにJさんの置かれている環境が見えてきて、「確かにそれは迷うだろうな」とチームの共感が増した上に、Jさんが今日この場で何を必要としているかもより明確にわかってきました。さらにJさんのすでにできているところや、良さを引き出す質問も投げかけられ、Jさんがなかなか難しい支援環境の中、とても丁寧に支援されているのが見えてきました。

肯定の段階に移って、メンバーがJさんについて感銘を受けた点や共感する点、良いと思った点を伝えていくと、自然と全体に温かい雰囲気が生まれていきました。

省察の段階では、Jさんには静かに聞いてもらうなか、メンバーが様々な角度からJさんに役立つかもしれないアイデアを出していきます。Jさんには自分に役立つアイデアだけを選んでメモしてもらいます。

・最後の終結の段階で、発表者のJさんが簡潔にコメントをしてピア・スーパービジョンが終わります。

Jさんは、「明確の段階で質問をもらうだけで色々な視点がもらえた。肯定の段階で温かい言葉をかけてもらえて癒された。すごく嬉しかった。省察の段階でも役立つアイデアをもらえた。SFRチームのやりかたでピア・スーパービジョンを受けてみて、これでいいんだなという今の自分に対して自信になったし、行き詰まりを感じていた部分には広がりがあった。共有することの力を感じられた。相談者を支えることは、自分を支えることと共通。SFRチームでその練習になった」とおっしゃってくださいました。
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