今、自分を再構築中
児童養護施設職員
勝亦 悦子

 私は小さい頃から、淋しかった思いが記憶のなかに強くある。いつも、いつも仕事中心だった母が私の脳裏に浮かぶ。ヒステリックな母、疲れきっている母は、私たちに手は挙げなかったけれど、鍋蓋に感情を向け、床に投げつけていた。小さな私は、気にしていないふりをしていた。

 母親に私を見てほしくて、気にしてほしくて、毎日を一所懸命頑張って生きていたような気がする。勉強も、運動も・・・、でも空回りだった気もする。小学低学年の頃、ゴルフ場のキャディーを雨風関係なく小さい体で母は一日中いくつものゴルフバックを運び、疲れて帰宅。玄関から居間に入る母の足音、声と表情をみて、母親天気予報を日課にしていた私がいる。「今日は雨」(疲れてるから静かにしてよう)、「晴れ!」(学校の話聴いてもらおう)、こんな小学生時代だった。

 私が小学生の頃、小児喘息を患い、病気がちで、仕事をよく母に休んでもらった。夜中に何度も、何度も夜勤仕事を終えた父の車に乗り、真夜中に診療してくれる遠い病院によく通っていた。仕事より私を優先してほしい無意識の‥抵抗、構ってほしいコール、甘え、母への体を張ったメッセージだったと振り返り思う。
 今、35歳を過ぎると理解できる。両親なりに精一杯生きてきたことを。父は仕事をし過ぎ、腎臓を壊し、現在週3回4時間もの透析に通う障害者一級になってしまった。また、子どもが可愛いくて、大変な思いを、辛い思いを子どもたちにさせたくないからこその仕事中毒の二人だったのだろう。両親は、子どもへの関わり方、接し方が下手だったし、わからなかったのだろうと、保育を学んだ私は考える。

 絵本を小さいとき、読んでもらった覚えもないし、買ってもらったこともなかったなぁ〜。その反動なのか、現在の私は山ほどの絵本を持っている。保育科で絵本の魅力を教えてもらったこともあるけれど、やっぱり・・・自分のやって欲しかったことを目の前にいる子どもたちに一所懸命読んでいる私がいる気がする。
小さい頃の積み残し、やり残しを今ある環境のなかで、自分なりに工夫し、新たな形で積み重ね、自分作りを始めている。再構築である。子どものときは、誰かに癒してもらわないと出来なかったけれど、今は工夫して自分自身を癒す。これからもやってほしかったこと、してほしかったこと、認めて欲しかったことの思いは続くだろう。この気持ちを抱えながら生活をするけれど、困ったときに誰かに話したり、相談したり、メールしたり、声をあげて泣いたりして、ワン呼吸すると落ち着くこともある。

 私だけの辛い、苦しい思い、ときどき奈落の底に突き落とされるようなフラッシュバック?、思い出したくない思い出がよみがえってくる。すごく情けない、しんどい私が顔を出す。そんなとき、そのときのことをそのまま表現することはきつい。形や表現を変えて構わない。一人で心を抱え込まず吐き出してみる。勇気を出して〜話してみる、伝えてみると、ちょっと前に進めた新しい自分に出会える。回りや環境は何も変化はないけれど、自分自身の心は大きな変化が起きる。
 たぶん、上記の繰り返しの作業が、引っかかりの出来事を乗り越えるためのエネルギーに転換し、貯まり、より魅力的な自信をもった自分に変化するのだろう。

 また話たいときには、このサイトにつぶやいてみたい・・・と、なんとなく思う。きっと、このホームページで出会った人たちを信じたい、ともに手をつなぎ合いたい‥だからだと思う。




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虐待防止についての情報
私は、癒しを自分自身が生活に取り入れている。例えば‥。『いいこってどんなこ?』という絵本が私は好き。一所懸命な自分に向けて、ご褒美として読み聞かせることがある。母うさぎに子うさぎバニーが尋ねる。母うさぎが、まるごとのあなたが好き!というメッセージがこめられている話。『どんなにきみが好きだかあててごらん』は、やっぱり!?うさぎ。チビうさぎがデカうさぎのことがどんなに好きなのかを体、言葉いっぱいに表現するのだが、デカうさぎは子うさぎを上回る表現をして対話を楽しむのが可愛いらしい。
 この二冊は今まで出会った絵本のなかで、なぜか私をホッとさせる。どちらも今のままで充分とのメッセージが感じられるからかなぁ。

セルフケア
セルフケア
スキューバダイビング。自然に育まれた色鮮やかな魚たちとのアイコンタクトや動きや面白い体型がうれしい。『スイミー』のような世界が目の前で実際に起こる。また、プールや海のなかは母親の胎内羊水に似ているから安心すると聴いたことがある。
 
☆プロフィール
勝亦 悦子(かつまた えつこ)
1971年静岡県生まれの双子座。日本福祉大学卒。
"自分を信じる"をモットーにしている。自分のやりたいこと、したいことを叶えるために、短大、大学を卒業。趣味はスキューバダイビングで、海外10以上の国々を潜る。東京にある民間児童養護施設に11年勤め、退職。日本の最西端沖縄県与那国島にて生活。ただいま、未来に向けてエネルギーを貯え中。来年2月ニュージーランドでの世界里親里子大会に参加予定。

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