東京の三鷹駅から歩いてすぐのところに、絵本屋「プーの森」があります。店長の野村羊子さんは、絵本を通して、お母さんや子どもたちの心に寄り添ってきました。野村さんにお願いして、大人と子どもに向けて、毎月テーマにあった、お薦めの絵本や書籍を紹介してもらうことになりました。どれも手にとってみたくなります。一緒に絵本の扉を開けてみませんか?
今月のテーマ
「 幸 せ」
Aug-2008
 幸せって何でしょうか。あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?毎日楽しいことが続くこと?思うとおりの人生を歩むこと?家族が揃って暮らすこと?

 私は仕事を終えて夕焼けを眺めながらぼうっとしている時間、遅い帰り道に煌々と輝く満月を見た時、そして美味しいものを美味しいねと言い合って食べる瞬間、幸せを感じます。そんな穏やかな日常の一コマの連なりこそが幸せなのではないかと思います。特別なことはないけれど、満ち足りた思い、受けとめられている実感、ありがとうと言い合える関係、そんなことが幸せの鍵なのです。

 ワクワクドキドキはないかもしれない。でも、安心してそこにいられること。不安や恐怖なしに、自分を保っていられること。一人でいても誰かとつながっていると感じられること。物足りなく思えるかもしれないけれど、そのことそのものが幸せなのではないでしょうか。あなたが幸せを感じる瞬間は、どんな時ですか?

「くつくつあるけのほん」
福音館あかちゃんの絵本
林明子さく 福音館書店
赤ちゃん向けの絵本4冊が入ったセット

 「きゅっ きゅっ きゅっ」は赤ちゃんがねずみ、うさぎ、くまと一緒にスープを食べます。ねすみさんがこぼしたら、あかちゃんが「ふいてあげるね きゅっきゅっきゅっ」。うさぎさんもくまさんもふいてあげます。さいごにあかちゃんの口のまわりは、お母さんがふいてくれます。「きゅっきゅっきゅっ はいごちそうさま」。
きもちがほんわかしてくるお話ばかり。

「ねえ だっこ」
いちかわけいこ・作 つるたようこ・画 
佼成出版社 

  おかあさんはいつだってあっくんをだっこ。それを横目で見ているお姉ちゃん。あっくんを寝かしつけた後のお母さんの家事の手伝いをしながら聞きます。「おさるのだっこって、どんなふう?」「ねこは?」「キリンは?」「クジラは?」。さいごに聞いたのは「おかあさんのだっこは?」もちろん、こんなふうとお母さんはだっこしてくれました。地味な版画のイラストですが、色々と物語ってくれています。

「あなたの小さかったとき」
越智登代子 文 藤枝つう 絵 
福音館書店 

  お母さんが整理すると言って押入から出してきた私が小さかったとき使っていたもの。小さいときのことを色々話してもらった。成長のポイントの解説も小さく描き込まれている。これを見ながら、読んでいるお子さんのことを色々話してあげましょう。子どもたちは、小さい頃のことを語ってもらうのが大好きです。幸せな思い出に浸りながら、幸せなひとときを過ごせるでしょう。
 
「ちいさいおうち」
バージニア・リー・バートン ぶんとえ 
いしいももこ やく 
岩波書店 

  この絵本の主人公は文字通り「ちいさいおうち」。田舎の静かなところに丈夫に建てられた小さいお家には子どもたちが沢山いる家族が住み、太陽が廻り、月が廻り、季節が廻る中、しあわせに暮らしていました。ところが、道路が走り周りにビルが建ち並び、ちいさいおうちはすっかりみずぼらしくなりました。そこへ、建てた人の子孫が現れ、田舎に引っ越すことになりました。

 よく練られた構図のベースに、時の流れと変化を十数ページのイラストで示してくれます。そして穏やかな自然の中での暮らし、満ち足りた暮らしの幸せを実感させてくれます。ほっとため息が出るような、感動の一滴が心に落ちる、そんな絵本です。
「幸せな子育てを見つける本」
はせくらみゆき著 
ほんの木

 スローな子育てのための43のポイントを、分かりやすく書いてあります。スローな子育てとは、自然のリズムに沿った暮らし、環境に負荷のかからない暮らし、いのちと心・身体が喜ぶ子育て。

 キーワードは「シンプル」と「テーゲー(いい・加減)」、「ありがとう」と「なんくるないさぁ(なんとかなるさ)」でしょうか。これだったらできるかな、というこのがあるでしょう。できるところから、やってみましょうか。「よくやっている」とじぶんをほめながら。
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