東京の三鷹駅から歩いてすぐのところに、絵本屋「プーの森」があります。店長の野村羊子さんは、絵本を通して、お母さんや子どもたちの心に寄り添ってきました。野村さんにお願いして、大人と子どもに向けて、毎月テーマにあった、お薦めの絵本や書籍を紹介してもらうことになりました。どれも手にとってみたくなります。一緒に絵本の扉を開けてみませんか?
今月のテーマ
「 怒 り 」
August-2007
 人はなぜ怒るのでしょうか。ちょっとふり返ってみてください。つい最近怒ったときのことを。子どもが何かやらかしてカーッとなりましたか?
 上司に、家族に言われた言葉にカッとなる。当然です。ある製薬会社のCMで、女性が息子に洗濯物を投げつけられムッとするシーンがありました。
 怒って当然の場面ですが、「ま、いいか」と飲み込む。アサーティブに言えば「洗濯物は自分で洗濯機(洗濯かご)に入れてね。人に投げつけるのは失礼よ」となるでしょうか。

 人は自分の尊厳を傷つけられたとき、反射的にムッとします。だから、ムッとしたとき、カッとしたとき、自分の何かが傷つけられているのです。それをふり返ることができれば、本当は何に怒っているのかがわかってきます。わかればどう表現したらいいのかも見えてくるのではないでしょうか。
 
幼い子どもは、感情をコントロールできません。しかし、怒って泣いてしっかり感情表出できれば、自ら回復していきます。子どもの中の力、あなた自身の中の力を信じること、それが一番の怒りへの対処法かもしれませんね。

「ぼくはおこった」
ハーウィン・オラム 作
きたむらさとし 訳 
評論社

  アーサーがテレビを見ていたら、お母さんが「もう寝なさい」。「いやだ」ってアーサーは怒った。地球も月も、町も家も部屋も木っ端微塵に砕いてしまった。幼い子の怒りだしたら止まらない様子、怒り疲れて寝てしまう様子をユーモラスな絵でみせてくれます

「おこりんぼうのアングリー」
ライマ 作
宝迫典子 訳
朔北社


  怒りん坊の血が好きな蚊のポータンが、アングリーを刺しました。するとアングリーの口から火が出て、何もかも焼いてしまいます。水に潜っても、冷蔵庫に入っても火は消えません。仲間たちも逃げていってしまいました。
泣いて笑えば怒りの火は収まることをちゃんと描いています。
 
「わらっちゃった」
大島妙子
小学館

 アケミちゃんとケンカした。帰り道に転んだのも、お母さんに怒られたのも、みんなアケミちゃんのせいだ!あったまきちゃう!カッカしたまま寝たら、頭から角がはえてきた。でも、お化け寄席でアケミちゃんと笑ったら、角がひっこんだ。ケンカしては仲直りの友達関係がいいですね。
「怒ろう」
パット・パルマー著
Disk Potato House訳
径書房

 あなたの中のおこりんぼうともっと仲良くしてあげて。怒りは、自分を大切にしようとする気持ちの現れだから。怒りは自分を守るためにも大事なものだから。自分のなかの「おこりんぼう」と仲良くするためのヒントをあれこれ紹介しています。ティーン以上におすすめのイラスト入りの絵本
「しつけと体罰 子どもの内なる力を育てる道すじ」
森田ゆり
童話館出版

  体罰は、大人の感情が暴力という形で爆発したものです。殴らなくても真剣に向き合い子どもに考えさせる、その方が本来のしつけである内的コントロールを育てることになる、と納得のいく語り口調で綴られています。大人が自分の感情に気づき怒りと向き合えれば、子どもを尊重するしつけができるのではと思わせます。

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