東京の三鷹駅から歩いてすぐのところに、絵本屋「プーの森」があります。店長の野村羊子さんは、絵本を通して、お母さんや子どもたちの心に寄り添ってきました。野村さんにお願いして、大人と子どもに向けて、毎月テーマにあった、お薦めの絵本や書籍を紹介してもらうことになりました。どれも手にとってみたくなります。一緒に絵本の扉を開けてみませんか?
今月のテーマ
「 不 安」
May-2008
 不安なときってどういうときでしょうか。新しいことを始めるとき、この先どうなるかわからないとき。怖いことが起こりそうなとき、でしょうか。

 先の見通しを持たない幼い子どもたちは心配事とは無縁のようです。それでも、黙っておいて行かれたあかちゃんは、常に親を捜し回るようになります。なにもわからないようでも、きちっと「いつ帰ってくるよ」と言われる方がずっと落ち着くのが早いようです。

 しかし、全てのことが見通せる人などいません。どうなるかわからなくても、新しいことに挑戦しなくてはいけない場面は多々あります。不安や恐怖があるからこそ、備えをして対処できるのではないでしょうか。

「びくびくビリー」
アンソニー・ブラウン さく 
灰島かり やく 
評論社

 ビリーはいつもびくびくしてた。いろんな事が心配で夜も眠れない。おばあちゃんに話してみたら、「心配ひきうけ人形」をくれました。グアテマラに伝わるこの人形は、子どもたちの心配を引き受けてくれます。しんぱい屋さんにはこういう対処の仕方があると、教えてくれるのはとてもいいですね

「おやすみなさい フランシス」
ラッセル・ホーバン ぶん 
ガース・ウィリアムズ え 
まつおかきょうこ やく 
福音館書店 

  寝る時間なのに、一人でベッドに入ったフランシスは、なかなか寝つかれません。そのうち、部屋の隅にトラがいるような気がしてきました。次々に怖いものを見つけては両親の所にかけていくフランシス。両親は、ちゃんとフランシスの話を聞き、それについての対処法を教えてくれます。この両親の態度はなかなかのもの。子どもの世界につきあいつつ、きちっと線をひいています。

「いもうとのにゅういん」
筒井頼子 さく 林明子 え 
福音館書店 

  妹のあやちゃんが盲腸炎で手術することになり、あさえはお父さんの帰りを待ってお留守番。そこに雷。人形を抱きしめ布団をかぶるあさえ。心細さと不安に耐える様子が伝わってきます。やっと帰ってきたおとうさんは恐かったあさえの気持ちをちゃんとわかってくれています。不安にかられても、それを受けとめてもらえれば人は不安を解消できるものなのです。
 
「バスをおりたら・・」
小泉るり子 作・絵 
ポプラ社 

  私の家は、学校からすごく遠い。毎日歩いて通っている。ある日、らくちんしたくて思わずバスにとび乗った。でも、降りたところは見知らぬ町…。迷子になった心細い思いを丁寧に描いています。自力で、長距離を歩いて帰ってきた私。家の灯りが本当に暖かく見えます。
「不安はあなたの生きる力」
金盛浦子 著 
佼成出版社

  不安になった時、あなたはどうしますか?マイナス面ばかりを見るのではなく、不安を生きる力に変えるコツ、それは今あるがままの自分をさらけ出し、自分を好きになることですって。言うのは簡単だけど、という方にお勧め。自分の心と上手くつきあうあの手この手が語られています。ダメな自分も抱きしめて、生きていきましょうか。
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