東京の三鷹駅から歩いてすぐのところに、絵本屋「プーの森」があります。店長の野村羊子さんは、絵本を通して、お母さんや子どもたちの心に寄り添ってきました。野村さんにお願いして、大人と子どもに向けて、毎月テーマにあった、お薦めの絵本や書籍を紹介してもらうことになりました。どれも手にとってみたくなります。一緒に絵本の扉を開けてみませんか?
今月のテーマ
「セクシュアリティ」
March-2007
 三寒四温は、本来冬の季節の話ですが、そういいたくもなりそうなお天気。体が気温の変化についていかなくて、ダウンしてしまった人も多いのではないでしょうか。
 元気なときは気にもとめない「わたしのからだ」。不調になるとその存在を主張し始めるようです。けなげに頑張っているんだから、もっといたわってあげて、と私は鍼灸師さんに言われてしまいます。
 あなたは自分の体が好きですか?スタイルがまずは気になりますよね。今の日本の女性は、戦前よりもやせているのだとか。ちょっとやせすぎているくらいがいいと思われているようですが、中身はどうでしょうか。本来中身が成熟し充実してくる時期に、必要な栄養が回らないと困ってしまいます。
 からだは様々な機能をフル回転させてわたしたちを支えてくれています。中でも心と密接に結びついている「性」の部分。あなたはきちんと知っているでしょうか。ケアしているでしょうか。
 今、10代の若者たちの間で、性感染症が増えていると聞きます。きちんとした知識を持って対処していれば感染は防げるものです。体を科学的に把握し、病気を防ぎ、虐待を防ぐためにも、性教育は重要です。でも、親としては気恥ずかしくて子どもには話せません。大人自身も知らないことが結構あるものです。
 今回は、そんなセクシュアリティに関わる体の本をご紹介します。

「おへそにきいてごらん」
からだのえほん 3
七尾純 作
長谷川知子 絵 
あかね書房

  てっちゃんのおへそは、お母さんから産まれたしるし。ぼくどうやって産まれたの?などといった子どもの素朴な質問に答えてくれる絵本です。

「わたしのはなし」
山本直英・和歌山静子 作 
童心社


  私は、裸の私が好き。でも、水着をつけているところ、プライベートゾーンを、誰かがさわったりのぞこうとしたら、嫌っていうんだよ。自分の体を守るのはまず自分。幼児からでもわかりやすく、虐待を防ぐための基本的知識を伝えてくれます。
 
「ありのままの自分がいい 
少年期・思春期のセクシュアリティ」

クレア・パターソン 著 
リンジィ・クィルター 絵 
eqPress 訳 
太郎次郎社


  思春期にさしかかった子どもたち、まっただ中の少年・少女たちに贈りたい本。大人にも聞けない、友人たちにも確認できない、そんな体や性に関わる不安、疑問に、わかりやすく答えてくれます。さし絵が豊富で、子どもたち自身が楽しんで読めるように工夫されています。作者はニュージーランドのセクシュアリティに関わる教育ディレクターをしていました。その実践から生まれた本です。
「女の子・男の子 思春期の性とからだの本―親が知っておきたいこと、子どもに知ってほしいこと―」
丸本百合子 村瀬幸浩 
ゆうエージェンシー 発行 
学陽書房 発売

 女の子編、男の子編、そして二人の作者の対談からなっています。思春期の子どもたちにあてて書かれた部分と、親に向けて書かれた部分とがありますが、やはり思春期の子を持つ親に贈りたい本といえます。子どもの心身の状況を説明し、親の向き合い方、心構えなどを語ってくれています。
「メグさんの性教育読本」
メグ・ヒックリング 著 三輪妙子 訳 
ビデオ・ドック 発行 
木犀社 発売


  カナダ人の看護婦さんによる、性を科学的に教える性教育の実践。実際のワークショップを中心に書かれているため、読みやすいです。科学的に性器の名称などをきちんと教えることは、性をありのままにとらえることであり、性被害を防ぐことにもつながると語ってくれます。親や教師など、子どもたちに関わる立場にいる人みんなにおすすめの本です。

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