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・・・続き2
表現アートセラピーとの出会い
  この興味をどうしても追求していきたい。できるならば自分の職業に結びつけたいと思い、この興味と結びつけられる学問はないかと思い探したところ、ドラマセラピーという分野があることを知りました。そしてドラマセラピーを学ぶべく渡米し行き着いたのはレズリー大学の表現アートセラピープログラムでした。
このプログラムの特徴として、学生は自ら体験し学んだことを実践していくことが要求されました。従って学生は必然的にクラスのワークを通して自己洞察が深まり、気づきも増え、自己の問題も改善され、時には癒されていくことが起こるのです。それは自分とは何かという自我の追求から、自己の経験、長所や短所を含め全ての自分を受け止める作業でもありました。また、自分がアートを創り、仲間達と表現しシェアすることによって自分の問題も整理され心のわだかまりも徐々に癒されていくことが実感できました。
さらに、実際にクライアントとセッションを持ち、クライアントがアートを創作し表現する様子見ている時にも共感が起こり、自分の問題さえも癒されていくカタルシス効果を経験しました。それは表現アートセラピーがもつ独特の癒しのエネルギー交換のようなもので、クライアントが癒されていく過程でセラピストもその場の共有者として癒しのエネルギーに共鳴してくことなのだと思います。
表現アートセラピーの効果
  表現アートセラピーの効果において次の三つの点がポイントになるのではないでしょうか。
1) 想像性と創造性
  まずこの想像性と創造性が表現アートセラピーの効果のキーワードとなります。例えばある人が自分のトラウマをセラピーによって癒そうとした場合、一般的治療としてはその時の状況を思い出して悲しかったり苦しかったりした心境を吐露することによって強い感情を軽減させていくということがおこなわれます。
  表現アートセラピーがトラウマの治療をする場合、確かに思い出す過程は含まれますが、アーツ(様々な芸術様式)を使い感情を表現するということで、そこに個人の想像性(イメージ)が反映され、完全なリアリティの再現ではなくその出来事に対する象徴的なイメージの再現となります。このことで現実とは違う受けとめ方が発見できたり、自己の感情に極度に巻き込まれず客観的に見ることができるのです。

  また、むしろイメージの表現の方がその人が持つ記憶を語ることよりも深い無意識のレベルでの自己洞察が可能であるという説もあります。そしてさらにはその人の創造性を刺激し、抱えている問題をどのように解決させていくかイメージを発展させ実際にリハーサルをおこないながら、現実的な解決法へと適応させていくのです。また、創造力を刺激することは何よりも感覚的に楽しいこと、遊びに近い感覚になることが多くなります。子どもが夢中になってイメージの世界で遊んでいるように、大人でも自分の好きなものを創り出している時はリラックスもしますし、楽しい感覚を味わうはずです。

  すなわち創造性を活かすセラピーでは、言語を使うセラピーでよく起こりうる余計な感情や迷いにそれほど翻弄されることもなく問題解決に取り組むというのが可能になるのです。何よりも創造力は生きる力に直結していくポジティブな要素です。この要素を大切にすることで自分に栄養を補給していけるのです。
   
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